2022 Fiscal Year Research-status Report
Estimation and experimental verification of causal connectivity and network structure among brain regions and neurons
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19K12212
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
三分一 史和 統計数理研究所, モデリング研究系, 准教授 (30360647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾家 慶彦 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (50396470)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 動的因果推定 / ブートストラップ法 / 吸息性ニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、時系列データの動的因果関係の有意性を評価するための手法として、4つのブートストラップ方法の比較を行った。比較したのは、AR-sieve bootstrap(ARSB)、Phase-randomized bootstrap(PRB)、Time-shifted surrogate(TSS)、Stationary Bootstrap(SB)であるが、それぞれ異なる特徴と利点があることが知られている。研究の結果、ARSBが他の方法に比べて因果関係の検出能力が高いことが明らかになった。このことは、時系列データの分析においてARSBが有望な手法であることを示すものである。 また、PRBとSBの方法に関しては、検出力に限界があることが示された。これは、時系列データ分析において、適切なブートストラップ方法の選択が重要であることを示すものであり、正確な結果を得るためには慎重な検討が必要であることが示唆される。本研究の成果は第67回生体信号計測・解釈研究会にて発表し、学術論文誌への投稿を準備中である。 一方、実験的研究では、マウスのpreBotzinger complexの吸息性ニューロンにおいて新生児期初期と後期の神経細胞のタイプと同期的な活動パターンの違いが明らかになった。新生児期初期には抑制性の神経細胞が多くの割合を占めており、同期的な活動パターンも不安定であることが示されたのに対し、新生児期後期には興奮性の神経細胞が優勢になり、同期的な活動パターンがより安定することが分かった。 この研究結果は、Scientific Reports誌に掲載され、第100回日本生理学会や第15回The 15th Oxford Conference on Modelling and Control of Breathingでも 発表された。これにより、神経活動の制御メカニズムや呼吸制御に関する理解が深まり、ニューロン間の因果性の推定に重要な事前情報になりうることが期待されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の2年目と3年目は、新型コロナウイルスの世界的な流行と重なり、研究の打ち合わせや情報収集のために必要な学会や研究集会への参加機会が極めて制限されていた。この厳しい状況下で、研究の進展に必要な情報やアイデアを得ることが困難であり、研究の成果に影響を及ぼす深刻な問題が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、Caイメージングによる神経活動の解析において問題となる、サンプリング周波数の問題に対処した動的因果性検出法を提案し、実データを用いた解 析によってその有効性を検証した。 今後の研究の推進方策としては、提案手法の精度向上が求められまる。具体的には、瞬時因果性の評価において、適切な時間窓の選択や、因果性が存在する可能 性の高い時間帯を選択することが重要であるため、これらの点に注力する必要がある。 また、提案手法の拡張として、動的因果性を検出するだけでなく、因果性の強さや影響範囲などを定量的に評価する手法の開発も必要とされる。 さらに、本研究で検出された吸息性ニューロン間の因果性について、その生理的意義を明確にするために、複数のデータセットを用いた解析や、他の神経回路と の因果性解析などを行うことが必要である。これにより、神経回路の動的な相互作用を理解する上で重要な知見を得ることが可能である。 提案手法の実用性を高めるために、解析の効率化やツールの開発が求められまる。例えば、高速な計算や視覚的な可視化を実現するためのソフトウェアの開発 や、提案手法を応用した神経回路解析ツールの開発が必要です。 以上のような研究の推進方策を実行することにより、動的因果性解析手法の開発や神経回路の相互作用の理解の向上につながることが期待される。
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Causes of Carryover |
本年度に予定されていた論文の発表および学会での発表ができなくなり、これらの発表は次年度に持ち越されることとになったため。
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Research Products
(5 results)