2019 Fiscal Year Research-status Report
超並列がん進化シミュレーションによる腫瘍内不均一性生成機構の解明
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19K12214
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井田 厚司 東京大学, 医科学研究所, 講師 (00772493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩嵜 航 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (30838959)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がん / 進化 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに異なる4つのがんの進化様式が提唱されているが、それらがどのような条件かで実現されているかについては不明な点が多かった。そこで、それらの進化様式が実現される条件を明らかにするためにエージェントベースドモデルを用いてかんの多様な進化様式を実現しうる統一的進化シミュレーションモデルを構築し、東京大学医科学研究所のスーパーコンピューターSHIROKANE上でMASSIVE(Niida et al., PLOS one, 2019)によるパラメータ依存性解析を行った。その結果、強いドライバー変異を仮定すると直線的進化が起こる一方で、ドライバー変異が弱い場合は自然選択によって腫瘍内不均一性形成されることが示された。また中立進化による腫瘍内不均一性形成には高い中立変異率が必要であり、がん幹細胞の存在も中立変異蓄積を促進することによって中立進化に寄与することが明らかになった。また、断続的進化は細胞増殖に必要なリソース制限を解除する爆発的ドライバー遺伝子を仮定することで再現できた。さらに上記に述べた大腸がん発がん過程における自然選択から中立進化の腫瘍内不均一性形成原理の移り変わりは断続的進化により引き起こされているということもシミュレーションにより明らかになった。このことはまた、異なる進化ダイナミクスは別々に起こるのではなく、発がんの過程で連続的に移り変わって起こるこということを示している。なお、本研究の全てのシミュレーション解析の結果はhttps://www.hgc.jp/~aniida/canevosim/index.htmlにて対話的に探索可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
比較的単純ながん進化シミュレーションモデルのパラメータ依存性解析を通じて医学的、生物学的に意義のある知見を引き出せた。
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Strategy for Future Research Activity |
MASSIVEの問題点としてパラメータ数の少ない単純なモデルにしか対応してない点がある。MASSIVEを改良し、より複雑でパラメータ数の多いがん進化シミュレータtumopp(Iwasaki and Innan, PLoS One, 2017)に適用して同様の解析を行う。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により予定していた海外出張が延期になったため
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