2022 Fiscal Year Annual Research Report
失敗国家の多元的地域研究―新生南スーダンにおける内戦の分析と平和への展望
Project/Area Number |
19K12527
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Research Institution | National Institutes for the Humanities |
Principal Investigator |
栗本 英世 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構本部, 大学共同利用機関等の部局等, 理事 (10192569)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 南スーダン / 失敗国家 / 内戦 / 民族紛争 / 平和構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、令和4年6月4日、明治大学で開催された日本文化人類学会研究大会において、第17回文化人類学会賞を授与された。授賞対象業績は「南スーダンおよびエチオピアを基点とした暴力と紛争の人類学に関する一連の研究」であり、本研究課題による研究は、この対象業績の一部をなす。研究大会では「小政体の文化人類学的意義――国家に抗する/を模する社会」と題した記念講演を行い、その原稿を改訂したものが、同名の論文として学会誌『文化人類学』87巻4号に掲載された。同論文の英語版は、令和5年度に英文学会誌Japanese Review of Cultural Anthropologyに掲載される。 8月には、ウガンダの首都カンパラに、主要インフォーマント3名を南スーダンから呼び寄せ、集中的な聞き取りを行った。これは、治安上の理由から南スーダンを訪問できない状況に対応するための代替措置である。12月から1月にかけては、私費でケニアの首都ナイロビを訪問し、共同調査者であるオランダの人類学者、シモン・シモンス博士と調査研究の打合せと情報交換を行った。令和5年2月には、国際協力機構(JICA)の用務で南スーダンの首都ジュバに出張する機会を得た。南スーダン政府、国連、国際機関、ジュバ大学や市民組織の要人と面会し、内戦を終結させた和平合意の実施状況と平和への展望について、貴重な情報を得ることができた。 最終年度である令和4年度の主要な研究実績は、年度末に刊行された『文化人類学』87巻4号に掲載された学会賞授賞記念論文である。本研究課題の実施期間中に行った研究は、1978年以来南スーダンで実施してきた調査研究の、重要ではあるが一段階にすぎない。これまでに蓄積ししてきた、南スーダンの歴史、社会と政治の動態、そして内戦と平和に関わる情報と資料、そして分析の視点は、今後論文と著書のかたちで発表する予定である。
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Research Products
(3 results)