2022 Fiscal Year Research-status Report
A Study of the Fundraising Trends for Journalism in the Digital Age
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19K12698
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小川 明子 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (00351156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 祐子 桃山学院大学, 国際教養学部, 准教授 (80458942)
酒井 信 明治大学, 国際日本学部, 専任准教授 (90439232)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ジャーナリズム / 公益ジャーナリズム / 寄付 / 地域メディア / 民主主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度までのコロナ禍において遅れていた調査をようやく行うことができ、これまでの研究の遅れをなんとか取り戻すことができた。 2022年度は以下の4点について進めた。 1点目に、ニュース砂漠という用語で2013年に問題化されて以降、特に米国などではジャーナリズムの縮小傾向が顕著であり、その問題を補うため、NPOや協同組合型のジャーナリズムが多様に模索されていることが明らかになった。大手メディアは課金モデルである程度の見通しが立ったところもあるが、中小ジャーナリズムについては、まだこれといって決定打といえるようなファンディングモデルは見出されていない。 2点目に、世界で模索されているジャーナリズムのファンディング方法として、寄付モデル、クラウドファンディングモデル、メンバーシップモデル、北欧型プレス補助モデルなどを抽出し、受け手との関係や持続性、中立性など、各モデルの利点と欠点について検討を加えた。 3点目に、英国をはじめとするヨーロッパにおいて、メンバーシップモデル、寄付モデルについて、メディア事例調査を行った他、ジャーナリズムを支える社会的な仕組みについてもヒアリング調査を行った。今後はこうした社会的仕組みについて、日本でどのように展開可能か、研究を進めていく必要がある。 4点目に、日本における小規模なボランティアベースのジャーナリズム活動、NPOのジャーナリズム活動、地方紙に焦点を当てて調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響もあり、調査が遅れたことが影響している。当初予定していたアメリカ調査は、2022年度前半に日本からの出国が難しかったことに加え、後半は研究メンバーの体調がすぐれなかったため2023年度に先送りされた。一方で、2022年度にはヨーロッパにおけるメディア調査や、小規模ジャーナリズムのサポートを行う大学や機関などとのヒアリング、研究打ち合わせなどを行うことができた。また日本各地のローカル新聞の調査などにおいても、ようやく通常と同様のヒアリングができたため、2020年度に想定していた内容をほぼ完了することができた状態である。 当該テーマは世界の先端事例を調査することにあるが、当初想定よりも研究進捗が遅れたことで状況も変化しており、今後の状況と課題は逆に推測しやすい状態になってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度として以下の3点を中心に進める。 1.ここまでの成果を2023年度中に国際学会、国際的な雑誌に掲載する。具体的にはInternational Association for Media and Communication Researchの大会にて、Funding community journalism in Japanというタイトルで発表予定である。またこの発表資料をもとに、コミュニティメディアを扱う国際雑誌に投稿予定である。 2.西洋とは異なる社会におけるジャーナリズムについて、東アジア諸国の状況をまとめる。リベラリズムに基づくジャーナリズムは、その理想を必ずしも共有しない東アジアの地域社会においてどのように受け止められ、資金調達が行われているのか。韓国と台湾の調査を行い、立体的な分析を目指す。 また日本メディア学会にて、ハイパーローカルジャーナリズムをいかに支援するかをテーマとしたワークショップを実施予定であり、具体的には、アカデミックな支援ネットワークを学会を通じて構築することを目指している。 3.書籍化に向けたまとめを行う。
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Causes of Carryover |
まだ十分にコロナ後の活動ができず、また研究メンバーが入院・手術を行ったこともあり、アメリカ調査の旅費分が余っている状況にある。しかしこの数年で状況が変わり、アメリカ調査に値する文献が数多く出版されていることから、今年度はアメリカ調査分を東アジア調査に充てる予定とし、IAMCR海外学会の旅費に部分的に充てる(2名分)予定である。
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Research Products
(6 results)