2020 Fiscal Year Research-status Report
図書館所蔵および貸出が新刊書籍市場に与える影響についての実証研究
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19K12704
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大場 博幸 日本大学, 文理学部, 准教授 (80523787)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 図書館 / 新刊書籍市場 / 古書市場 / パネルデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
公共図書館における所蔵や貸出が、新刊書籍の売上にマイナスの影響を与えるのか、あるとすればその程度はどのくらいか、これらの疑問について検証する研究をおこなっている。 調査計画に重要な変更があった。当初は2019年4月に選定したタイトルの売上データ等を2年半追跡する予定であった。しかし今年度、新たに600タイトルを選定し、2020年9月から新たにデータ取得を開始した。このような変更をしなければならなかった理由は、2019年度に選定した当初サンプルのデータ収集が断絶したためである。コロナ禍における調査会社の蔵書データ取得システムの変更、およびAmazon.co.jpのシステム変更、この二つによって2020年4月期以降の図書館所蔵数等データと古書価格等のデータが欠落してしまった。 このため、次のような対応をしなければならなかった。2020年7月~8月に発行された新書・文庫を層化抽出によって600タイトル選び、新たなサンプルとした。新しいサンプルのデータ取得期間は2020年9月~2021年11月であり、1年3ヶ月間の実売部数と図書館所蔵数および貸出数を取得することになる。データ取得の依頼先はオリコン社とカーリル社であり、2019年度に依頼していた業者と同じである。また、Amazon.co,jpにおける順位、古書価格、古書供給数のデータの機械的な収集を行っていることも同様である。このように、サンプルと調査期間について計画の変更があった。 新たにサンプル書籍を選定し、再度のパネルデータによる収集を開始したことが今年度の実績となる。旧サンプルにもとづいた2019年5月から2020年3月までの11か月分のデータについては、現在その分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」で記した理由(データ取得先のシステム変更等)によって、調査計画の一部修正を迫られた。このためデータ取得期間を変更した。当初は一種類のサンプル集合の二年半のデータ取得を計画していた。変更後は、二種類のサンプル集合に対し、ひとつは11ヶ月のデータ、もうひとつは14カ月のデータに基づいて、分析を施す。 旧サンプルについての2019年5月~2020年3月までのデータは取得済で、2021年中に分析を施し、結果を学会等で報告する予定である。新サンプルに関するデータ収集は2020年9月から開始され、2021年の11月までに収集を終える予定である。 このように、データ取得期間の短縮化を行った。旧サンプルのデータをラフに観察した限りでは、新刊書籍の売上は発売後3~4ヶ月以内に下降しており、この短縮化は結論に大きく影響するものではないと予想している。ただし、分析がまだ途上であるという理由で「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、新サンプルに基づいたデータ収集の継続と分析、加えて旧サンプルのデータ一年分をもとに統計分析の実施を行う予定である。 第一に、新サンプルに基づいたデータ収集であるが、2021年11月までに取得を終える。 第二に、上のデータについて年度内に分析を施し、2022年度の図書館情報学関連の学会に発表をする。 第三に、旧サンプルに基づいたすでに取得済のデータの分析を完了し、2021年度の日本図書館情報学会の秋季大会で発表する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額となる28万7千円が残された理由は二つある。 第一に、データ販売業者に対する支払いのうち、2021年2月と3月分に相当する部分が、年度末の会計処理の都合上翌2021年度に持ち越されたためである。 第二に、図書館所蔵データの販売業者が2020年4月~7月分のデータ取得に失敗したため、その分の支払いが不要になったためである。 これらに相当する額は新サンプルの二カ月分のデータ取得にあてる予定である。
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