2021 Fiscal Year Research-status Report
公害関係資料の適切な管理と公開に関する研究:アーカイブズ学の観点から
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19K12705
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
清水 善仁 中央大学, 文学部, 准教授 (30437181)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 公害関係資料 / 公害資料館 / 公文書館 / アーカイブズ / アーカイブズ学 / 歴史学 / 社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.公文書館等における公害関係資料の所蔵状況調査(継続):都道府県や市町村の公文書館等を対象に、データベースに登録されている公害関係資料のデータ収集作業をおこなった。令和3年度は歴史的公文書を中心に6機関約1,000件の資料データを収集することができ、都道府県立の公文書館等におけるデータ収集作業はほぼ完了した。以上の調査から、各機関の状況をふまえた全国的な公害関係資料の所在や傾向等を把握することができ、大変有用であるといえる。 2.公文書館等に対するアンケート調査の実施:上記のデータベースによる資料の所蔵状況調査とは別に、特に古文書や私文書を対象として、都道府県や市町村の公文書館等に対して文書によるアンケート調査を実施した(古文書や私文書の場合、データベースによる情報収集が難しいため)。アンケートの内容は、①所蔵の有無、②資料の概要:資料名等、③所蔵資料の規模/数量:箱数、書架延長等、④所蔵資料の整理状況、⑤目録(データベース登録を含む)の有無、⑥資料の公開状況および公開方法、⑦本アンケートの取り扱い、⑧備考、の8件である(2021年10月から2022年2月の期間で実施)。公文書館等からの回答は現在集計・入力作業中であるが、データベースのみでは収集できない資料情報を得ることができたものと考えられる。 3.公害ならびに公害関係資料に関する研究:歴史学やアーカイブズ学の知見にもとづき、公害や公害関係資料に関する研究を進めた。そのなかで「薬害スモン」(安藤聡彦・林美帆・丹野春香編著『公害スタディーズ』ころから、2021年10月)を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
公害関係資料の所蔵状況調査については、先述の通り都道府県立の公文書館等のデータ収集作業がほぼ完了するなど、若干遅れ気味ではあるが着実に情報の蓄積と作業の進展がなされている。一方、公害関係資料の資料群構造把握や資料作成母体の組織構造研究については、法政大学大原社会問題研究所環境アーカイブズ所蔵薬害スモン関係資料を中心に調査を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、研究協力者の協力等も得つつ、公害関係資料の所蔵状況調査を市町村立の公文書館等を対象におこなうとともに、回収したアンケート調査の分析等から公害関係資料の現状と課題について検討する。あわせて、公害関係資料研究も進める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、前年度と同様、コロナ禍にともない申請当初予定していた資料館等への訪問調査が不可能となったためである。したがって、助成金は研究協力者の増員もしくは業務委託等による謝金額の増加分に充てるとともに、公害関係資料の所蔵状況調査の取りまとめを中心とした報告書の作成(印刷費)に使用する計画である。
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