2022 Fiscal Year Research-status Report
公害関係資料の適切な管理と公開に関する研究:アーカイブズ学の観点から
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19K12705
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
清水 善仁 中央大学, 文学部, 准教授 (30437181)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 公害関係資料 / 公害資料館 / 公文書館 / アーカイブズ / アーカイブズ学 / 歴史学 / 社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.公文書館等における公害関係資料の所蔵状況調査(継続):都道府県や市町村の公文書館等を対象に、データベースに登録されている公害関係資料のデータ収集作業をおこなった。令和4年度はこれまで収集してきた都道府県立公文書館等所蔵の歴史的公文書のデータ確認・分析とともに、市町村立公文書館等所蔵の資料データの収集作業を進めた。 2.公文書館等に対するアンケート調査の実施:令和3年度中に実施した公文書館等に対する古文書・私文書の所蔵状況調査アンケートの入力作業と分析を行った。その結果、①古文書・私文書のなかに含まれる公文書(ないし公文書的な性格を有する資料)の存在、②戦前期の公害関係資料の存在、③行政刊行物が有する価値の高さ、の3点について考察を加えることができ、公文書と古文書・私文書、さらには行政刊行物という、それぞれの形態の資料が有するアーカイブズとしての意義について明らかにした。 3.公害ならびに公害関係資料に関する研究:歴史学やアーカイブズ学の知見にもとづき、公害や公害関係資料に関する研究を進めた。そのなかで上記2の調査をふまえた論文(清水善仁「公害経験の継承と公害資料:アーカイブズとしての公害資料館」[清水万由子・林美帆・除本理史編著『公害の経験を未来につなぐ』ナカニシヤ出版、2023年3月刊行])を執筆した。あわせて、本研究にかかわるコラム「〈現在進行形〉としての公害を考える」が中央大学の研究等を発信する「ChuoOnline」に掲載された(https://yab.yomiuri.co.jp/adv/chuo/research/20230126.php)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
公害関係資料の所蔵状況調査については概ね順調に進んでおり、市町村立の公文書館等のデータ収集作業を残すのみとなっている。あわせて、公害関係資料の資料群構造把握や資料作成母体の組織構造研究については、これまで収集してきた歴史的公文書のデータや古文書・私文書のアンケート調査をもとに考察を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、研究協力者の協力等も得つつ、公害関係資料の所蔵状況調査を進めるとともに、公害関係資料研究に取り組む。あわせて、これまでコロナ禍によって実施できなかった公害資料館等への訪問調査も実施したい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、前年度と同様、コロナ禍にともない申請当初予定していた公害資料館等への訪問調査が困難となったためである。今年度は、訪問調査を実施するとともに、業務委託等による謝金額の増加分、バイアウト経費等に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)