2022 Fiscal Year Annual Research Report
New Information Technologies for Electronic Information Resource Management: A Research Project through International Comparison
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19K12708
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
古賀 崇 天理大学, 人間学部, 教授 (60390598)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | デジタルアーカイブ / ボーン・デジタル情報 / デジタル遺品 / デジタル相続 / デジタル・フォレンジック / 追悼 / 忘れられる権利 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度となる2022年度も、COVID-19の影響下での渡航制限などの制約が大きく、北米現地での調査など、当初予定していた研究活動を遂行できないままとなった。また、前年度の「今後の研究の推進方策」の最初に記した、「デジタル公共文書」に関する著作(論文集となる図書の中の一論考として)の刊行も、原稿は脱稿済であるものの当該論文集の編集作業の都合により、刊行が2023年度に持ち越しとなってしまった。しかしそうした中でも、当該著作の内容の一部を学会での発表に活かすなどの取り組みができた。特に、日本のデジタルアーカイブの政策と実践につき、「文化遺産・文化資源の活用策、および知的財産戦略としての遂行」をめぐる意義と限界を、各発表で論じることができた。あわせて、「追悼の公共性と、アーカイブおよびデジタルアーカイブとのつながり」が、前述の著作執筆を通じて見いだせた本研究課題上のキーワードのひとつとなり、各発表を通じてこの点のさらなる追求に努めた。具体的には、デジタル遺品・デジタル相続の位置づけ――金銭的財産の継承にとどまらず、個人やその集団の追悼にもつながる――や、デジタル・フォレンジックといった技術的手段がもつ意味、さらに「忘れられる権利」とアーカイブとの関係――「ダークアーカイブ」の方法論のように、一定期間内に限ってプライバシー情報等の秘匿化を行い、期限後に公開する方向性もあり得る――などを、本研究課題にかかわる論点として示すことができた。 研究期間全体では、ブロックチェーンなどの最新の技術動向と情報資源管理との関係の明示といった、当初の予定を果たすことは叶わなかった。しかし、文化遺産・文化資源として価値が広く認められたものとは異なる、個人ベースでのデジタル情報を、公共的なアーカイブにつなげる意義や課題について、研究成果を通じて示すことができた。
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Research Products
(8 results)