2019 Fiscal Year Research-status Report
Construction of multimodal database combining knowledge of tangible and intangible cultural property information
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19K12712
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
杉山 岳弘 静岡大学, 情報学部, 教授 (70293595)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 無形民俗文化財 / マルチモーダル・データベース / グラフ型データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、マルチモーダル・データベースに組み込むためのデータ設計の基本となる、有形・無形の文化財の情報を体系的にモデル化するために、無形民俗文化財、特に「祭り」を構成する情報を収集し、継承に必要な情報の骨格となる構造の観点から分析を中心に行った。具体的には、以下の通りである。 1.多彩な無形民俗文化財「祭り」を構成する体系的な要素を明らかにするため、浜松地域の5つの祭り(西浦の田楽、川名のひよんどり、横尾歌舞伎、遠州大念仏、つなん曳き)について、有形・無形の情報を収集および分析を行い、体系的な要素を明らかにし、また、体系化における課題を明らかにした。また、祭りに関する情報の共通性についても明らかにした。特に、無形な情報の持つ状態の意味づけの必要性、情報の入手状況の記述、複数の情報源の整合性、場所を特定する情報の記述、日にちや期間の記述などについて、課題が残されている。 2.民俗文化の体系化において、文化人類学の分野で用いられている文化項目分類について調査して、祭りの中の民俗芸能への適合性について検証した。部分的には合致する項目は見つかるが、内容面においては体系的分類という観点においては、適用することは困難であるが、枠組みとしては参考となることを見いだした。 3.西浦の田楽について、これまで蓄積してきた資料やインタビューを分析し、無形民俗文化財の「継承」を目的として、ストーリーを持った知識として口伝できるように、祭りを構成する有形・無形の豊かな情報を有機的に構造化して結合するシナリオ・モデル設計を行った。また、マルチモーダル・データベースの構築のための準備を始め、民俗芸能に関する資料の収集を行い、テキスト化と写真のデジタル化を実施している。分析したインタビューや映像に加え、今回、収集した資料を、汎用的なメタ情報でもってグラフ型のデータベースを構築する方法について検討を始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度の目標である、無形民俗文化財「祭り」を構成する体系的な要素を明らかにするとともに、共通性や課題についても明らかにしている。さらに、有形・無形の情報を構造化して結合するシナリオ・モデルの設計においては、インタビュー資料の分析とその関係性を整理しており、さらに、一部は先行して、マルチモーダル・データベースへのグラフ構造化についても検討を行っている。一部は、部分的な目標達成となったが、次年度の目標に踏み込んで研究を進めており、トータルで当初の年度目標を達成できたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに明らかにしてきた無形民俗文化財「祭り」を構成する体系化に必要な要素と、対話分析によって得られたシナリオ・モデルの設計を、汎用的なメタ情報で結びつけて、グラフ型のデータベースを構築し、マルチモーダル・データベースのデータ設計について検討を進めていく。具体的には、以下の通りである。 1.引き続き、地域の多彩な文化財を有効に活用できるよう、さらに追加で祭事を調査して、有形・無形の文化財の持つ豊富な情報を収集および分析し、「祭り」を構成する体系的な要素を整理・追加していく。また、共通性に関する検証や残された課題についても解決策を検討していく。 2.無形民俗文化財の「継承」を目的として、昨年度実施した、これまで撮影してきた祭りの継承に関するインタビューをベースとした対話分析の結果をもとにして、ストーリーを持った知識構造のシナリオ・モデル設計を行い、1で明らかにした祭りの体系的な要素に汎用的なメタ情報でもって結合していく方法を開発する。 3.文化財の持つ深い知識体系を構造的に保存できるようにし、なおかつ、人間の可読性とコンピュータの処理性を備え持つマルチモーダル・データベースを構築する手法を明らかにする。1と2で検討した知識構造に対して、グラフ型のデータベースに拡張して、知識体系を構造的に記述し、保存できるようにする。1と2で明らかになった、祭りの体系的なモデルと継承のシナリオ・モデルを、実装レベルまでに落とし込み、実際にマルチモーダル・データベースを構築していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナ禍のため予定していた学会が開催中止もしくはオンライン開催となり出張に行けなくなったため、残額は次年度に学会で成果発表を行うため、旅費として使用予定である。
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Research Products
(4 results)