2020 Fiscal Year Research-status Report
Building Collaboration between Teaching Faculty and Librarians in Higher Educational Settings: Based on a Case Study of Aalto University in Finland
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19K12713
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| Research Institution | Mie University |
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Principal Investigator |
長澤 多代 三重大学, 情報教育・研究機構, 准教授 (30346944)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 情報リテラシー / 大学図書館 / 教員と図書館員の連携 / 教職協働 / 大学統合 / ケース・スタディ / アアルト大学 / フィンランド |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では，大学教育における教員と図書館員の連携構築に関する研究の一環で，フィンランドのアアルト大学のケース・スタディを実施している。アアルト大学は，3つの大学（ヘルシンキ工科大学，ヘルシンキ経済大学，ヘルシンキ芸術デザイン大学）を統合して2010年に設立された新設の大学である。大学統合後の2016年には各図書館がOtaniemiキャンパスに移動し，中央図書館として統合されて学習センターと名称変更した。2018年には図書館組織を再編成して学習サービス，研究サービス，アーカイブ・サービス，デジタル・ITサービスの4つの部署による分割運営の体制を整備した。これはフィンランド初の試みである。
本研究の目的は，アアルト大学のケース・スタディをもとに，次に示す3つの研究課題を明らかにすることにより，アアルト大学における教員と図書館員の連携構築の仕組みを捉えることである。①学生の情報リテラシーを向上させるための図書館員による教員へのアプローチのうち，どのようなアプローチが教員と図書館員による連携の構築を促進するのか，②どのような大学図書館内外の条件が教員と図書館員の連携の構築を促進するのか，③①のアプローチと②の条件が，時間の経過の中でどのようにかかわりながら教員の図書館員の連携に結びついているのか。
2019年度には1名の図書館員への予備的な聞き取り調査によって背景的な知識を得るとともに，2020年度の聞き取り調査を含む訪問調査の計画を作成した。2020年度には2度の訪問調査を予定していたが，コロナ禍の終息を待って実施を見送り，大学教育における教員と図書館員の連携に関する文献調査を中心に進めていた。だが，事業終了時（2021年度末）までの訪問調査の実施は難しいと判断して，2021年度にオンラインによる聞き取り調査を実施することとし，その準備を進めている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度の2019年度について，当初の計画では，アアルト大学における教員と図書館員の連携構築の全体像を把握するために，2度の訪問調査をもとに，図書館員，教員，学習センターの職員への聞き取り，大学統合に関する内部文書など基本的なデータの収集を予定していた。だが，実際には，アアルト大学の図書館員（芸術デザイン分野の情報リテラシー教育の担当者）への集中的な聞き取り調査（2時間×3回），大学統合や図書館組織の分割運営に関する文献や報告書の調査をもとに，大学統合前と後の情報リテラシー教育及び教員と図書館員の連携についての基盤となる情報の収集にとどめた。この予備調査をもとに，2020年度の訪問調査の計画を作成した。
2020年度には聞き取りを含む2度の訪問調査を予定していたが，コロナ禍の終息を待って実施を延期した。その中で，2019年度に予備的な聞き取り調査をした図書館員に追跡調査となる聞き取り調査（2時間×1回，オンライン）を実施して，2019年以降の状況についての情報を得た。訪問調査の実施のタイミングを計りながらも，この図書館員やフィンランドの図書館情報学の研究者らとの検討をもとに，事業終了時（2021年度末）までの実施は難しいと判断して，2021年度に，アアルト大学の図書館員，教員，学習センターの職員を対象としてオンラインによる聞き取り調査を実施することとした。2021年度初頭の実施のための最終調整をしているところである。訪問調査の準備と並行して，大学教育における教員と図書館員の連携に関する図書館情報学関係の文献調査を進めていた。その成果の一部については，文献レビューとして2021年9月の国際学会（オンライン開催）で発表する予定である（採択済）。
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究は2019年度から2021年度までの3年間の計画である。そのために，残りの研究期間は1年となった。最終年度となる2021年度の計画は，アアルト大学の関係者へのオンラインによる聞き取り調査を実施するとともに，データを整理・分析し，その成果を国際学会における口頭発表及び研究論文として公表する準備を進めることである。
2021年度の具体的な計画は，5月及び6月のうちに，情報リテラシー教育を担当する図書館員，図書館員と連携した経験を持つ教員，学習センターの学習サポート部門の管理職員への聞き取り調査（オンライン）をもとに，情報リテラシー教育のための教員と図書館の連携についての情報を収集する。聞き取り調査の対象には，大学統合前の3大学（ヘルシンキ工科大学，ヘルシンキ経済大学，ヘルシンキ芸術デザイン大学）の教員及び図書館員が含まれるようにしている。また，聞き取りの範囲は，大学統合（2010年）後の新キャンパスへの移動前と後（2016年～2018年）を中心とする。必要に応じて追跡調査となる聞き取りを10月頃に実施する。収集したデータについては逐語録を作成し，質的内容分析の手法を用いて分析する。その成果については，研究論文として作成し，国際学会での発表の準備を進める。
大学教育における教員と図書館員の文献レビューについては，情報リテラシー関係の国際学会での発表を予定している（採択済）。この国際学会については，当初は2020年度の開催予定であったが，コロナ禍による延期のために，2021年9月にオンラインによる開催が予定されている。
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| Causes of Carryover |
2020年度のうちに，アアルト大学の2度の訪問調査を予定していたが，コロナ禍の終息を待って実施を見送っていた。だが，しばらくは状況に変わりがないと判断して，2021年度にオンライン形式で聞き取り調査を実施することとした。
2020年度に計上していた予算について，関連文献の購入及び相互貸借，図書館員への聞き取り調査への謝金のために使用したが，訪問調査に計上していた予算の大部分は2021年度に繰り越した。2020年度の繰り越し分を含む2021年度の予算については，オンラインによる聞き取り調査のためのインフォーマントへの謝金，聞き取ったデータの逐語録作成のための謝金，関連文献の購入及び相互貸借の費用に加えて，投稿論文の英文校正のための費用として使用することを予定している。
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Research Products
(5 results)
