2021 Fiscal Year Research-status Report
子ども時代の「心に残る」読書に関する実証的研究:読書体験の形成要素と長期的効果
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19K12722
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
須賀 千絵 実践女子大学, 文学部, 講師 (80310390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
汐崎 順子 慶應義塾大学, 文学部(三田), 講師(非常勤) (50449021)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 読書 / 子ども / 読書体験 / 公共図書館 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は①子ども時代の読書について書かれた文献の電子化及び入力後のデータチェック・分析方針の検討、②新型コロナウイルス感染拡大のもとでの公共図書館による読書の支援の調査、③専門事典の読書に関する項目執筆を行った。 まず子ども時代の読書体験について書かれた文献のうち、読書に関する大学生のエッセイをまとめた文集(2004年~2014年刊行)12点について、昨年度に入力完了した分析用データのチェックを終了した。そして分析方針の検討を行うと共に、追加データの選定・整理を進めた。追加データとしては、当初予定していた子ども時代の読書に関する大学生によるレポートのほかに、既存の文献の中から、CarlsenらによるVoices of Readers(1988)を選定し、分析に先立って電子化を完了した。子ども時代の読書体験に関する記述は継続して調査と収集を行っている。 次に、2020年春の新型コロナウイルス第一波の感染拡大期における国内の公共図書館による子どもに対するサービス状況を調査した。本調査は、新型コロナウイルスの感染拡大により、子どもの読書の前提となる環境が脅かされたという認識のもとに実施したものである。本調査は、本研究と現実社会の問題をリンクさせ、研究の社会的意義を高めるねらいで実施した。調査の結果は、国際図書館連盟の年次大会において招待講演のかたちで発表した。合わせて本調査に関する学術論文等の執筆も進めた。 第三に、『子どもの読書を考える事典』(朝倉書店から2023年刊行予定)の複数の項目を執筆し、原稿提出を完了した。子どもの読書、および子どもの読書に関する各種取り組みについて歴史的な整理を行い、関連する年表を作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大が続いたことで、次の2点について影響が生じた。対面による会議に制約があったことから、データの分析を予定通り進めることができなかった。また対面で予定していたグループ・インタビューや子ども文庫の訪問調査を実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
日常的な打ち合わせは引き続きオンラインで行うが、入力後のデータの検討など、必要に応じて、感染防止に留意しながら、対面による会議を再開する。 また追加データの入力も合わせて進める。分析用のデータとして、既存の文献を活用し、不足分のデータを補う。グループ・インタビューは、対面だけでなくオンラインも併用することで実施に向けて準備を進める。これらのデータをもとに分析を進め、研究のとりまとめを行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、対面を予定した調査を実施できず、子ども文庫の訪問調査も実施できなかった。そのため交通費や謝金等の経費に変更が生じた。調査実施の遅れに伴い、データ入力の委託等の発注も遅れている。さらに参加予定の学会がオンラインとなったことから、学会の旅費等にも変更が生じた。 次年度は、可能な範囲で対面調査を実施すると共に、オンラインへの切替によって調査を完了させ、結果の入力・分析を行う。子ども文庫の活動が再開できない場合、子ども文庫の訪問調査は断念し、文献調査などによってデータを補って分析を進める。また成果の一部を学会発表するため、出張を予定している。
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Research Products
(1 results)