2022 Fiscal Year Research-status Report
子ども時代の「心に残る」読書に関する実証的研究:読書体験の形成要素と長期的効果
Project/Area Number |
19K12722
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
須賀 千絵 実践女子大学, 文学部, 講師 (80310390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
汐崎 順子 慶應義塾大学, 文学部(三田), 講師(非常勤) (50449021)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 読書 / 子ども / 読書体験 / 公共図書館 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、①「心に残る読書」体験についてのインタビュー調査の実施と分析、②新型コロナウイルスの感染拡大のもとでの公共図書館の読書支援についての論文執筆、③子どもの読書と関連する取り組みに関する研究の歴史的整理を行った。 まず、インタビュー調査は、子ども時代の「心に残る読書」の体験が比較的豊かであると思われる成人男女19名を対象に、年代別に形成したグループ単位で実施した。それぞれの子ども時代の読書体験を振り返ってもらい、その当時の環境や、現在の自分から見たときの思いなどを尋ねた。インタビューの結果の中から、それぞれの「心に残る読書」の体験を抽出し、先に構築した「心に残る読書」の分析枠組みに基づいて、個々の体験の形成要件を整理した。さらに個別の読書体験のほかに、子ども時代の読書体験全体に対する認識として、言語化された発言も収集した。予定した調査はすべて終了したが、分析については一部次年度に繰り越した。結果の一部は学会で発表した。 次に、新型コロナウイルスの感染拡大のもとでの公共図書館の読書支援については、前年度にまとめた調査結果を原著論文にまとめた。新型コロナウイルスの感染拡大は、図書館や学校の休業などにより、子ども時代の読書体験に多大な影響をもたらしかねない出来事であった。「心に残る読書」の分析においては、読書の周辺の環境も重要な意味を持っていることが明らかになったことから、研究成果の社会的意義を高めるねらいもあり、本調査は、当初の予定に追加して実施した。第1波の時期のみを対象とした研究と、第1波以降も含む全期間にわたる研究の論文2本を執筆し、前者は、学会誌に投稿し(査読結果待ち)、後者は『年報こどもの図書館』において発表した。 最後に、子どもの読書に関する歴史的整理は『子どもの読書を考える事典』の関連項目及び年表としてまとめた(2023年5月に朝倉書店より刊行)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度より対面によるインタビュー調査が可能になったことから、前年度までに行う予定であった調査をまとめて実施した。しかし分析まですべて終えることはできなかった。新型コロナウイルス感染拡大下の公共図書館の読書支援についての調査については、前年度の調査結果をもとに、論文執筆まで終えた。
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Strategy for Future Research Activity |
予定していたインタビュー調査はすべて終了し、分析を進めている。今後、前年度中に終了できなかった分の分析を進め、研究全体のとりまとめを行う。調査成果をもとに学会発表を行い、合わせてシンポジウムの形で広く社会に研究成果を還元する。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査の分析が遅れたため、2022年度中に分析結果の発表を行うことができなかった。そこで、分析を終了させたうえで、研究代表者と分担者の2名が出張し、結果を学会で発表する。さらに学会で得られたコメントも反映して一連の研究成果をとりまとめ、シンポジウムを開催する。シンポジウムの開催費用として、コメンテーターを依頼する関連分野の研究者に謝礼・交通費、会場運営のためのアルバイトの人件費を支出する予定である。
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Research Products
(2 results)