2019 Fiscal Year Research-status Report
Survey of preservation and release status of "municipal newsreels" and it's database construction
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19K12724
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
春木 良且 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (80277954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 弥生 神奈川大学, 外国語学部, 非常勤講師 (90462811)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アーカイブズ / 行政資料 / ニュース映画 / 高度成長期 / 市民社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、第1フェーズとして、基礎自治体、広域自治体の両者を含む、日本の各自治体で、戦後、行政ニュース映画として制作されたもののうち、公開されているものを対象に、概要の調査を行った。特に今後の研究を進めるにあたり、コンテンツ自体をネット公開しているか、あるいは文書館、資料館などでの限定公開なのかに大きく分け、ネット公開しているものに関しては、コンテンツそのものの分析などを行った。 まずは、神奈川ニュース映画協会による「川崎市政ニュース」をベンチマークとして、各地域ニュース映画の編成やコンテンツ内容などを比較して行った。 その結果から、各政策ニュース映画に関して、①時代性、②地域性、③社会課題の要素に分けて、特徴抽出を行った。①は、戦後の復興期から高度成長に掛けて、日本全体のマクロな社会変化を意味する。また②は、各地域固有の、どちらかと言えばミクロな事象を意味する。特に政策ニュース映画は、当初大空襲被害地域を中心に、復興の記録という役割が強く、各地域固有の産業や文化、風習などの記録でもある。③は①と関連するが、高度成長期を挟んで、地方から都市部への人口移動と、その結果としての過密と過疎化の双方における社会課題の問題提起としての側面である。本フェーズでは、これらのリサーチを中心に行った。 さらに、調査の過程で、山形市で政策ニュース映画の制作に携わっていた元市広報課職員の方が健在でいることが明らかになったため、直接聞き取り調査に訪問した。行政側で直接政策ニュース映画の制作を行っていた人の証言によって、政策ニュース映画の実態が明らかになった。特に地域の行政広報誌と並行して制作されていたことがわかったため、次のフェーズでは、行政側の広報活動としての側面を研究する必要があると考えている。尚、この一連の成果を、3巻シリーズで電子書籍化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本フェーズの作業は、主にネット上の公開資料を対象とした、概要把握を中心としたリサーチであり、結果として多くの成果を得ることが出来た。 そもそも政策ニュース映画は、公文書ではなく行政関係資料であるため、管理基準が存在しないために、地域により管理母体や管理方針、管理状況が大きく異なっている。また、各地域によって、こうした記録の扱いに温度差があることも明らかになってきた。 元制作者のインタビューなど、本研究での新たな発見として、各地域自治体で発行されていた広報誌が、政策ニュース映画と並行して制作されていたことが明らかになった。 川崎市政ニュースと並行して制作されていた、「かわさき市政だより」について、川崎市文書館で調査したが、特に昭和20年代から昭和30年代前半分に関しては、保存状態が劣悪であり、調査は進んでいない。 現況調査で、茨城県県政ニュース映画の充実が明らかになり、本務での授業で接触を持った、同県利根町で町の広報誌「広報とね」を利用する機会を頂いたため、以降では、茨城県政ニュース映画と広報誌を分析していく計画でいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本フェーズの調査で、政策ニュース映画の各地の概況が明らかになった。中でも、茨城県政ニュース映画と、静岡県浜松市市政ニュース映画の2地域分が、内容的に充実していると共に、前者では関連資料の公開、後者ではDVDとしての公開など、史料としての公開に積極的である。 今後は、両者の公開されている映像資料を基に、ナレーションの書き起こし、詳細分析、コンテンツ分類を行う予定である。前者では、制作に関わった広報関係者、制作者などのインタビューを予定しているが、高齢者が多いため、新型コロナウイルス感染症の問題などから、予定を見直さざるを得ない状況にある。 また広報誌を用いた地域課題の分析を進める予定であり、利根町でニュース映画を素材とした住民ワークショップを計画していたが、同様の事情で現状では再開の見通しは立っていない。次年度は、オンライン中心の研究に移行せざるを得ないため、方向性の見直しを行っている。 また本フェーズの成果は電子書籍化したが、次フェーズ以降も、同様の成果公開と、行政Webなどでの公開も予定している。
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Causes of Carryover |
2020年初頭に計画した住民ワークショップや現地調査などが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期になったため。 新たに研究内容を付加し、2020年秋期に計画している。 また、茨城県の他に、浜松市も協力していただけることになったため、そちらでも同様に住民ワークショップを予定している。
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Research Products
(7 results)