2019 Fiscal Year Research-status Report
A study on feature analysis of library reference transaction records and support for library pathfinder creation
Project/Area Number |
19K12725
|
Research Institution | The International University of Kagoshima |
Principal Investigator |
中尾 康朗 鹿児島国際大学, 国際文化学部, 准教授 (90738783)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | レファレンス事例 / 特徴分析 / 知識抽出 / パスファインダー / レファレンス協同データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
レファレンス事例データは、図書館における個々のレファレンスサービスにおける記録データである。2019年度はレファレンス協同データベースのレファレンス事例データの分析を中心に研究を行った。 レファレンスサービスでは、情報源に基づいて回答を行うためレファレンスツールの選択がキーとなる。個々のレファレンスツールを正確に把握し、レファレンス質問を解決できているかを特定することが可能となる。レファレンス協同データベースの事例データには、レファレンスツールが回答および回答プロセスの自由記述文中に混在、ならびに参考資料フィールドにメタデータとして登録される形で存在している。ただし、レファレンスツールには表記のゆれがあるため、完全に取り出すことは困難であることから、正規表現や他の書誌データベースとの照合により可能な限り精度の高い抽出を行った。また、抽出したレファレンスツール群に関しても、レファレンス質問に対する直接の回答の情報源となったレファレンスツール、直接の回答の情報源とならなかったレファレンスツール、参考図書ではない一般図書等も含まれる。この点に関しても解析を行った。 事例データにおけるレファレンス質問は、図書館員が利用者との間でレファレンスインタビュー等を行った結果、確定した最終質問を簡潔にまとめた文章である。レファレンス質問に対してテキスト解析を行い、特徴的な手がかり表現やトピックの分析を行っている。また、図書館員の探索調査を記録するために設けられている回答および回答プロセスの自由記述文に関してレファレンスツール以外の記述部分にも着目し、レファレンス質問と同様に解析を行い、図書館員の探索プロセスに関する特徴を分析している。 これらの成果をもとに、特定のレファレンス質問や調べ方に対する最適なレファレンスツール群を求め、探索パターンの導出を試みた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度には本研究に必要な機器環境等の整備は予定どおり行うことができた。データ解析に関しては当初想定していたデータ分析のうちレファレンス質問や自由記述文のレファレンスツール以外の記述部分へのテキスト解析が2019年3月31日の時点で実施継続中の状態である。最終的な知見が得られるところまでは至っておらず、引き続き実施中の状況であるが、その他のデータ処理に関しては、初年度に想定していた項目は概ね実施できており、2年目につながる成果となっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度の成果を踏まえ、公開されているパスファインダーに関する実態調査を行う。Web上からの調査を行うとともに、公共図書館等に対してパスファインダーの作成に関して質問紙及びインタビューによる調査を実施し、実態や課題を明らかにしていく。また、分野や主題に応じた探索パターンを提示する試験システムの構築と評価にも着手する。得られた成果から、その応用展開として、利用者の質問からそれを解決するのに有効なレファレンスツール群をパスファインダー候補として提示する試験システムを作成し評価する。評価は研究室内、研究機関内(学内)で行った後、その結果をフィードバックさせながら、順次、研究機関外(学外)に対し試験システムを評価してもらい、質問紙及びインタビューによる調査を実施していく想定である。
|
Causes of Carryover |
研究用機器のうち申請時に導入を予定していた研究用ソフトウェアが、その後のメーカーによる開発中止に伴い2019年度に供給されなくなり、入手できなくなったことから、研究環境の再構築のための調査検討を行った。それに時間を要したことから研究の進捗への影響を回避するため、一部のデータ処理については既存の情報環境をやりくりしながら研究を継続したことによる。今回、所属研究機関の異動に伴い、新しい研究室で改めて、研究環境の再構築を行い、合わせて2020年度に予定していた研究の実施に使用していく想定である。
|