2020 Fiscal Year Research-status Report
サル、ウマ、展示動物を対象とした「出会い」と「別れ」に関する行動研究
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19K12731
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中道 正之 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (60183886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧本 彩加 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (40726832)
山田 一憲 大阪大学, 人間科学研究科, 講師 (80506999)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 別れ / 出会い / ニホンザル / クロサイ / ウマ / 動物園 / オスザルによる世話行動 / 授乳行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会の中で暮らす動物が親しかった動物と別れた時、あるいは未知な同種個体が加わった時、互いにどのような行動をするのかを、行動観察によって明らかにすることを、本研究は目指している。しかし、2020年度はコロナ禍のために、予定していた野外調査がほとんどできなかった。そこで、ウマの観察とこれまでに集積しているデータの整理に注力した。 野生ニホンザルを対象とした研究では、過去30年間にわたって蓄積している記録をもとに、中心部オトナオスの一部の個体が1歳未満の特定の子ザルに対する抱く、運ぶ、毛づくろいするという世話行動をmale-careとして分析した。中心部成体オスの約40%のサルが少なくとも1頭の1歳未満の子ザルに子ザルにmale-careしていた。対象となる子ザルはメスの子ザルが有意に多く、オスと子ザルの特別な関係は冬から初春にかけての時期に開始すること、その関係は子ザルがオトナになっても続く事例も確認できた。この研究は現在、投稿論文の改稿中である。 動物園で暮らすクロサイの子育てを4年半にわたって記録したデータをもとに、授乳行動を分析をした。クロサイの母が子の授乳請求行動を許す割合は授乳期間を通じて常に50%以上で、毎回の授乳では母が動いて止めさせるのではなく、子が自ら乳首を離して終了することが授乳期間を通して50%以上であった。これらの事実から、誕生した子がいつも母と一緒に過ごす追従型の子育てをする有蹄類の中で、クロサイの母は特段に寛容性が高い子育てをする種であることが示唆された。 ウマのデータについては、2019年度と同様に、2020年度のデータを収集した。ただし、コロナ禍のため、19年度に比べてサンプル数は3分の1程度にとどまった。2020年度の観察対象の2個体は、同時期に出産した比較的子育て経験の少ない母とその子を観察した。現在、データの解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニホンザルとクロサイについては、過去のデータを順調に整理できており、2021年度での論文投稿が十分に可能な状態になっている。牧場で暮らすウマの行動観察は、コロナ禍のために、予定通りできなかったが、すでに2019年度に予定以上のデータを確保している。したがって、「おおむね順調に進展している」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
ニホンザルとクロサイについては、過去のデータをもとに、論文に作成し、投稿することが十分可能な状況になっており、これらを着実に2021年度は進めることである。そのために、過去に撮影したスライド写真のデジタル化や英語論文の校閲などによる支出が多くなると予想される。 牧場で暮らすウマ集団を対象とした研究では、2021年秋に観察を予定している。コロナ禍の状況が好転してくれば観察を実施する。観察ができなかった場合でも、2019年度に収集したデータをもとに、学会発表を行い、今後の研究発展の基盤づくりをする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のために野外調査が行えず、残額が発生した。この額は、2021年度の経費と一緒に、これまでの研究成果を発表するために必要な「スライド写真のデジタルデータ化」と「論文の英文校閲」さらに、調査旅費として、2021年度に執行予定である。
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Research Products
(3 results)