2022 Fiscal Year Annual Research Report
サル、ウマ、展示動物を対象とした「出会い」と「別れ」に関する行動研究
Project/Area Number |
19K12731
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中道 正之 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 名誉教授 (60183886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧本 彩加 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (40726832)
山田 一憲 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 講師 (80506999)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 別れ / 出会い / ニホンザル / クロサイ / ウマ / 動物園 / 授乳行動 / 死体 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度(最終年度)では、牧場で集団で暮らすウマの離乳時の母ウマの行動観察を実施した(10月、11月)。生後5カ月から6カ月頃に仔ウマが離乳され、その直後から母ウマのイナナキ回数、移動行動、排便が急増するが、離乳後3日ほどで、これらの変化は通常のレベルに戻った。これらの結果は過年度に実施した行動観察結果を補強するものとなった。 動物園で暮らすクロサイを対象にした過年度の観察データを分析し、母は子の授乳を求める行動を拒否することが少ない、子が乳首を離すまで動かないなど、寛容な母の授乳行動明らかにした。これらをまとめた論文が学術誌で公刊された。 過年度に行動観察を行った動物園のホッキョクグマのデータ分析を行い、子が生後9カ月までは、母子の双方が同程度に互いに近づいたり、離れたりしていた(つまり、母子双方が近接関係の維持に同等に関わっていた)のが、生後10か月以降になると、子が主に母子間の近接を維持する行動(離れ、近づく)を行うようになることを定量的に明らかにした。 野生ニホンザル集団を対象にして、おとなが死亡した時、あるいは、死が近づいている時に、他のサルたちがどのように反応するのかをこれまでに記録したデータから分析した。母ザルが死亡した赤ん坊を運搬するのとは異なり、おとなの死体に近づいて、毛づくろいするのは死亡4事例の1事例のみで、他の3事例では、すべて周囲の個体は避けていた。ただし、死体への毛づくろいがあった事例では、冬季で死体の腐敗が全く進行していなかったのに対して、他の3事例では夏季で、死体や死亡直前の個体にはウジが発生していた。これらが、周囲の個体の反応に違いが出た理由だと考えられた。また、超高齢第1位メスは、他の高齢メスとは異なり、他個体との毛づくろいなどがあり、社会的孤立化傾向は見られなかった。これらの成果も論文としてまとめ、投稿準備中である。
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Research Products
(6 results)