2021 Fiscal Year Research-status Report
1920年代後半ロシア演劇における「ファクト」の概念と方法論的展開の考察
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19K12976
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
伊藤 愉 明治大学, 文学部, 専任講師 (00816556)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ロシア演劇 / セルゲイ・トレチヤコフ / 検閲 / ファクトの文学 / ロシア・アヴァンギャルド |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はモスクワの文書館でアーカイヴ調査を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、集中的に滞在し調査することが困難となり、予定していた資料の渉猟、 それに基づいた研究はほとんど進めることができなかった。 一方、1920年代のロシア演劇理論に関しては読解を進め、2022年1月に出版されたPerformance Spaces and Stage Technologies: A Comparative Perspective on Theatre HistoryにDiscussions on Theatre Spaces and Theatre Materials by the Leningrad Schoolと題した論文を寄稿した。本論は、英語圏で知られていないレニングラード芸術史研究所の演劇理論を紹介・分析した点で、国際的にも有意義な成果だと考える。 また同時代の現象を社会主義リアリズムの文脈で扱った劇作家ポゴジン、および彼の戯曲を積極的に上演していたモスクワ革命劇場の調査を進めており、その過程で1930年代に同劇場に在籍した日本人演出家土方与志に関するロシア人の回想録を翻訳して明治大学文学部紀要『文芸研究 (145) 』で2021年9月に翻訳掲載した。土方のロシアでの活動はほとんど知られておらず、日本演劇史研究においても貴重な資料の発掘となった。 その他、ロシアの演劇雑誌に、日本の劇団維新派についての論文を掲載(Исинха: Путешествующий зритель // Театр (46) 58-67 2021年8月)。『ロシア文化55のキーワード』(ミネルヴァ書房)では、「スタニスラフスキーとメイエルホリド 演出家の誕生」の項目を担当し、本研究課題の対象となる時代のロシア演劇を解説した。2021年5月には、早稲田大学演劇博物館「COVID-19 影響下の舞台芸術と文化政策――欧米圏の場合」報告冊子を各国演劇を専門とする研究者と共に作成し、同博物館の展示「Lost in Pandemic――失われた演劇と新たな表現の地平」で配布した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ・ウイルスの影響およびウクライナ情勢により、渡航が困難な状況が続いているため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も新型コロナウイルスの感染状況により、計画通りに研究を進めることができていない。研究機関延長を申請をするとともに、採択された国際共同研究加速の計画を実施し、ウクライナ情勢が落ち着き次第、集中的にロシア国内に滞在することで、アーカイヴ調査を行なうことを実現したい。
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Causes of Carryover |
現地アーカイヴ調査費として計上していた旅費が、新型コロナウイルス感染拡大により出張が計画通り実施できなかったため次年度使用額が生じた。ウクライナ情勢の状況を見据えつつ、出張を実施し、延長した研究計画を遂行したい。
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Research Products
(5 results)