2022 Fiscal Year Research-status Report
1920年代後半ロシア演劇における「ファクト」の概念と方法論的展開の考察
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19K12976
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
伊藤 愉 明治大学, 文学部, 専任講師 (00816556)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ロシア演劇 / セルゲイ・トレチヤコフ / 検閲 / ファクトの文学 / ロシア・アヴァンギャルド |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はロシア国内の文書館でアーカイヴ調査を予定していたが、ウクライナ情勢の影響により、集中的に滞在し調査することが困難となり、予定していた資料の渉猟、 それに基づいた研究はほとんど進めることができなかった。 一方で、「ロシア芸術における抑圧と分断」『世界』編集部編『ウクライナ侵略戦争:世界秩序の危機』や『チェマダン特別号:ウクライナ侵攻とロシアの現在』をはじめ、さまざまな場所での口頭発表を通じて、ウクライナ情勢から現在のロシア文化や演劇の状況を継続的に調査し、現実を再現/表象する現在の実践を同時代的に確認することができた。こうした実践はウクライナ情勢を背景に、現実を後追いするドキュメンタリー的形式を纏いつつ、それを「事実」として物語る政治的な言説に回収されうる。このような現代の作品は、本研究課題である1920年代の「ファクト」概念に基づくトレチヤコフらの演劇実践と表裏の関係にある。アーカイヴ調査による1920年代を対象とした研究のアクチュアリティを、より説得的に論じる足掛かりとしていきたい
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ウクライナ情勢により、渡航が困難な状況が続いているため。
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Strategy for Future Research Activity |
ウクライナ情勢により、計画通りに研究を進めることができていない。研究期間延長を申請をするとともに、ウクライナ情勢が落ち着き次第、採択された国際共同研究加速の計画を実施し、集中的にロシア国内に滞在することで、アーカイヴ調査を行ないたい。
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Causes of Carryover |
現地アーカイヴ調査費として計上していた旅費が、ウクライナ情勢により出張が計画通り実施できなかったため次年度使用額が生じた。ウクライナ情勢の状況を見据えつつ、出張を実施し、延長した研究計画を遂行したい。
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