2020 Fiscal Year Research-status Report
Sound of the Universe: Art direction for creating an instrument through a cosmic ray detector
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19K13027
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
田中 ゆり 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 大学院専門研究員 (70823425)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 科学と芸術 / 協働 / サウンドアート / 素粒子物理 / 宇宙物理 / 宇宙芸術 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、パンデミックの影響で入国制限により研究協力者らが拠点にする欧州との往来が叶わず、遠隔で研究を進めた。CERN(欧州素粒子物理学研究所)における宇宙線ミューオンの検出器の改良、Unreal Engine 4およびFMOD Studio を用いたサウンドデザインを並行して進め、統合的なアートディレクションの視点から宇宙線ミューオンの信号をリアルタイムで有機的な音に変換する表現のあり方を探った。
当初は京都大学花山天文台における「花山天文台 特別公開・宇宙と文化の日」(2020年10月31日)にて、これまでに構築したサウンドシステムを基盤にしたサウンドインスタレーションを発表する予定であった。しかし、オンライン開催となり、入国制限が続いた。研究協力者らの現場での機材調整が必要であり、物理的に音を聞き、身体で空間を体験するサイトスペシフィックな作品の性質から、やむを得ず次年度への延期を決断し、当企画では研究や作品の紹介をオンラインで中継した。
また、オンライン発表の場を活用して学会で成果発表を行なった。10月の国際会議IAC(International Astronautical Congress)では論文付き口頭発表が高い評価を得て学術雑誌Acta Astronauticaへの掲載に推薦された。校正・再編集の後、2021年度中に発行される予定である。国内では環境芸術学会(11月)で成果発表を行い、学際的な本研究に欠かせない多様な領域の参加者から知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要でも述べたように、パンデミックにより研究に大きな支障が生じたため、研究期間を一年延期した。 前年度は実験的な段階で検出システム・サウンドシステムを実装したが、現在は検出精度も向上し、音の微細な調整ができるまでに発展した。物理的な音源を組み込む等、アナログとデジタルの融合する音の生成方法を、アプリケーションとプログラミングを通じて開発している。 また、京都大学花山天文台の研究の中核が太陽であることを踏まえ、太陽から生じる素粒子等のデータをDSCOVR衛星から抽出し、上述の音と組み合わせて調和する音の表現の研究を進めている。現状までには、データをリアルタイムでサウンドシステムに取り込むプログラムを構築した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで作り上げてきたプロトタイプを引き続き改良し、宇宙線ミューオン等の信号を宇宙のリズムと捉え、音に落とし込むことで、人間が享受しうる表現のあり方を追究する。 2021年度は、「花山天文台 特別公開・宇宙と文化の日」(11月3日開催予定)で作品発表を行い外部からのフィードバックを、10月のIAC、12月(予定)の環境芸術学会で成果発表を行い、国内外からの知見を集め、次なる研究への道を開拓する。
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Causes of Carryover |
パンデミックの影響で入国制限により研究協力者らが拠点にする欧州との往来ができず、予定通り研究を進められなかった。そこで、研究費も有効活用するためにも研究期間を一年延期した。来年度はこれまでの研究をまとめ、論文や芸術表現を通じて成果発表を実施していく予定である。
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Research Products
(2 results)