2019 Fiscal Year Research-status Report
近世前期における〈勧化〉――勧化本作家の活動に注目して――
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19K13049
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
木村 迪子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 基幹研究院研究員 (40836475)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 勧化本 / 近世文学 / 仏書 / 浄土宗 / 浄土真宗 / 上方出版 / 羊歩 / 空誓 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は勧化本の黎明期を明らかにする以下の研究を行った。 一、『浄土勧化標目章』とその作者に関する研究…書名に〈勧化〉を冠する最初期の勧化本として、大正大学附属図書館所蔵の天和3(1683)刊『浄土勧化標目章』の調査を行った。その結果、本書が寛文年間版行の『浄土勧化鉤引』(施版)を天和3に八尾市兵衛らが『浄土勧化標目章』として改題本を出版したことを明らかにし、成立時期の修正と、本書出版背景に新興書肆勃興が深く関わっていた可能性を指摘した。(第187回仮名草子研究会にて発表) 一、妙延寺空誓の著作と影響に関する研究…17世紀後半に活躍した真宗本派の学僧・妙延寺空誓の著作について調査を行い、その真偽について検証した。『往生礼讃偈鼓吹』と『浄土真宗開疑鈔』について、真宗仏光寺派・玄貞による仮託を指摘した。また、『四十八願取滴直談』の本文精査から17世紀後半勧化本への直接的影響を指摘し、実態が不明瞭な元禄期の勧化本作家たちが真宗本派であった可能性が高いことを明らかにした。(第188回仮名草子研究会にて発表) 一、羊歩の伝記に関する調査…『拾穂書』の書誌調査と本文の翻刻を行い、伝記について再考した。真宗本派の学僧といわれていた羊歩がそもそも浄土宗僧侶であった事実を指摘し、浄土宗から臨済宗を経て真宗へと改宗していった過程を明らかにした。(『近世文芸研究と評論』発表予定) 上述の成果は従来の説を訂正し、更に不明点の多かった17世紀の仏書出版にかかわる作者の動向を可視化するものとして意義が見込めるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究の基盤となる黎明期の勧化本研究として代表的な2つについての調査を完了できただけでなく、当初の予定に含まれなかった羊歩に関する調査も遂行できたため、当初見込んでいた以上の成果をあげられたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の研究を踏まえ、今年度は真宗仏光寺派・玄貞の著述活動についての調査を行う。2020年度は新型コロナウイルスの流行に伴い、外部機関への調査がほぼ不可能と考えているため、特に重要度の高い史料の購入を行いテキストデータ入力をすすめて調査再開時の速やかな成果報告に努めたいと思う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行により2020年2月に予定していた調査旅行が中止となったため次年度に繰り越し、史料購入に充てる。
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Research Products
(1 results)