2023 Fiscal Year Annual Research Report
狩野文庫本『毛詩草木鳥獣虫魚疏』における書入れの翻刻と研究
Project/Area Number |
19K13061
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
矢島 明希子 慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 講師 (20803373)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 書誌学 / 名物学 / 本草学 / 博物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は東北大学附属図書館狩野文庫所蔵の『毛詩艸木鳥獸蟲魚疏』(狩2-1794-2、以下『草木疏』)の書き入れを調査し、その他狩野文庫の漢籍調査によって狩野亨吉旧蔵書における『草木疏』の位置づけについて検討することを目的としている。 2023年度はまず、4月8日にオンラインで行われた国際集会「末日前的語文学(Philology in Our Time: The Early China Project Room)」において、「夜鳴鳥的各種様態:従文献的角度考察文化伝承」という報告を行った。これは、本研究で得た日本の名物学の成果を踏まえ、日中の梟の文化を比較検討した報告である。また、11月28日に早稲田大学で行われた柳井イニシアチブ国際シンポジウム「越境する書物交流と博物書写―蔵書・経学・デジタル歴史学」において、「『詩経小識』の諸伝本について―写本に見る知的ネットワーク」と題し、2021年・22年度の調査を行った関連資料『詩経小識』の伝本に関する報告を行った。 本研究の目的である狩野文庫本『草木疏』の調査は、新型コロナウイルスの感染拡大により東北大学での調査が遅れていたが、2022年度の末より本格的に調査を再開することができた。23年度は東北大学に3度出張して狩野文庫の『詩経』関係資料、農書・本草書・名物書などの関連資料の原本調査を行うことができた。現在はウェブ上で古典籍の画像公開が進んでいるが、印影や朱筆の書き入れなどは見えにくい場合もあり、やはり原本調査が重要であると実感した。調査の結果、狩野文庫本『草木疏』の書き入れは多くが江村如圭『詩経名物弁解』(以下、『弁解』)に拠っている可能性が高く、『弁解』やその他引用書籍との関係を含めて再検討を行った。その成果は2024年度以降に発表する予定である。
|