2023 Fiscal Year Annual Research Report
中世期から近世前期における平家物語にまつわる文芸領域及び文化の動態に関する研究
Project/Area Number |
19K13079
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
森 誠子 九州産業大学, 基礎教育センター, 准教授 (20615356)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 説話文学 / 平家物語 / 軍記物語 / 伝承文学 / 在地伝承 / 信仰 / 縁起 / 芸能 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度が最終年度となる本研究は、『平家物語』並びにこれと題材の共通する諸文芸(お伽草子・説話・寺社縁起・芸能・絵画等)を同時代的・通史的に突き合わせ、そこに平家滅亡の地である北部九州をはじめとする地域の祭りや伝承に関わる言説等を加えることで、平家にまつわる文芸の生成及び流布の様相を解明することを目的とし、その好適な例である『平家物語』に描かれる女性説話を切り口に、平家にまつわる文芸領域の動態を解明し、その結果として中世期から近世前期における総合的な文芸領域の様相を解明することを目指し、これまで取り組んできた。 2023年度は、5月以降COVID-19が国内で5類に引き下げられたことで、本格的な実地踏査・成果の口頭発表及び成文化に移ることができた。具体的には、『平家物語』に描かれる女性である祇王に関わる滋賀県の野洲地域、同じく仏御前に関わる北陸地方の加賀地域、祇王・仏御前の両方に関わる福井県の越前地域での実地踏査、それと並行して文献資料の精査を行い、8月には査読誌に論文「加賀国における仏御前説話―「仏御前事蹟記」を基軸として―」を公表、翌年1月には口頭発表「仏御前説話の地域的展開―加賀国・越前国を中心に―」を行った。祇王については、本研究期間で得られた成果をもとにさらに精査を重ね、今後に公表していくことを計画している。 短からぬ時間、COVID-19によって制限下の中での活動を余儀なくされたが、その状況が好転したことで、短期間ではあったが、県外調査を立て続け遂行でき、多くの新知見を得、その幾つかに関して公表にこぎつけることができた。だが、それによる新たな方向性も模索の必要が生じている。最終年度までに解消することのできなかった課題や、実施することのできなかった計画については、今後の活動によって、関連する隣接領域にも寄与しながら、さらに研究を拡充かつ深化させたい。
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Research Products
(2 results)