2019 Fiscal Year Research-status Report
明治期英語教科書の翻訳本データベース化による欧文の直訳的な表現の研究
Project/Area Number |
19K13212
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Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
八木下 孝雄 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究情報発信センター, プロジェクト非常勤研究員 (30823413)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 欧文直訳的表現 / 欧文訓読 / 明治期英語教科書 / 近代日本語 / 日本語史 |
Outline of Annual Research Achievements |
明治期以降、近代日本語がヨーロッパ諸語(特に英語)から多くの影響を受けたが、その影響のひとつとしての、欧文を直訳したような表現である「欧文直訳的表現」は、近代日本語成立の一因とされている。しかし、その研究においては未だ究明すべき点が多く残されている。 本研究では、「欧文直訳的表現」の成立過程においてそのもととなったとされる、「欧文訓読」とよばれる訳出法の調査・分析を行う。これは、明治期の英語教科書の翻訳本で行われていた、訳出法である。具体的には、①明治期の英語教科書の翻訳本を資料として、原文と訳文を対照させたデータベースを作成し、②そのデータをもとに「欧文訓読」の訳出法を分析することで、「欧文直訳的表現」の成立過程を明らかにしていく。この①②は、本研究の目的でもある。 2019年度は、研究計画に沿って、上記①のために、主にデータベース構築の準備作業を進めてきた。具体的には、調査対象とする明治期の英語教科書の訳本の選定と、コピーや写真撮影による版面画像の収集、さらに、それらをもとにした原文と訳文の対照電子テキストデータの作成である。この作業については、次年度以降も継続して行っていく。また、作成した電子テキストデータの一部を用いて研究成果を発表した。(口頭発表「欧文訓読の方法--New National 1st Reader の訳本を中心に--」第122回国語語彙史研究会 於:神戸女子大学)今後、データベースが充実するにつれて、より詳細な分析が可能になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、データベース構築の準備作業を主に進めてきた。 調査対象とする明治期の英語教科書の訳本の選定、コピーや写真撮影による版面画像の収集、さらにそれらの画像をもとにした原文と訳文の対照電子テキストデータの作成について、それぞれについて、当初の計画通りの進行をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、データベース構築の準備作業をさらに進めていく。電子テキストデータ入力作業のアルバイトを今後増やし、対応する予定である。また、作成したデータを用いて早期のデータベースの作成をめざしたい。 また、本来はデータベース作成後に分析を行う計画であったが、2019年度にデータの一部を用いての研究を行うことができた。今後は、データベースの構築と並行した分析も行い、研究成果の公表と、それからのフィードバックをもとにしたデータベースの充実を図っていきたい。
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Causes of Carryover |
2020年1月以降、データベース構築の準備作業としての電子テキストデータ作成について、アルバイトを増やし、研究計画を予定よりも進めることができる見込みであった。そのため、前倒し請求を行い、人件費・謝金に充てる予定であった。しかし、アルバイトを依頼する予定であった人の都合により、電子テキストデータ作成の作業ができないことになってしまった。そのため、次年度使用額が生じてしまった。 2020年度以降は、これを人件費・謝金として用いて、電子テキストデータ作成をアルバイトに依頼し、データベース構築を進めていく。
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Research Products
(1 results)