2019 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive research on the role of the Junior Red Cross in international cultural exchanges
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19K13318
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
BEREZIKOVA TATIANA 大阪大学, 日本語日本文化教育センター, 特任助教(常勤) (20837728)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 少年赤十字 / 国際文化交流 / 国際理解教育 / 国際親善 / 国際通信交換 / Junior Red Cross |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、世界各国の子どもたちがどのように国際文化交流に貢献したのかを、世界各国の少年赤十字の機関誌の調査と分析によって明らかにするものである。今年度は、国内外において資料調査を実施し、研究成果を発表しつつ、本研究に関わる成果を挙げることができた。今回実施した資料調査は、国内において日本赤十字社の資料館、国外においてアメリカ国立公文書記録管理局(ウォルサム市とカレッジパーク市)、アメリカ議会図書館(ワシントンDC市)およびカナダ国立図書館(オタワ市)であった。なお、計画したカナダ・ケベック州のCanadian Red Cross National Archive における調査は、この資料館の閉鎖と資料の移動により、実施することができなかったため、最も多くの資料が保管されているオタワ市のカナダ国立図書館における調査を行うことにした。加えて、資料調査の結果に基づいて、学術論文(2本)、研究ノート(1本)を発表し、研究発表(1回)を行った。 前述した調査によって、日本、アメリカ、カナダ少年赤十字の活動の規模と歴史、各国との交流に関する新しい資料を発見することができたとともに、日本とアメリカにとって重要な交流相手であった国と、少年赤十字の運動の中で最も活発に活躍していた国を、国際通信交換の回数という具体的なデータに基づいて明らかにすることができた。これらの国は、少年赤十字の国際文化交流を最も盛んに行っていた国であったため、本研究にとって非常に重要な研究対象であると言える。今回の成果は、今後の研究の推進に大きく関わっているものである。 さらに、これ以降の研究において、少年赤十字の機関誌だけではなく、赤十字に関連する雑誌などを研究対象に入れる必要があることがわかった。これらの資料には、少年赤十字の活動に関する多くの情報が掲載されており、有効な資料であるからである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の基礎となる少年赤十字の機関誌の調査については、計画した箇所を訪問し、予定通りに調査を行った。なお、カナダにおける調査の際に、1928-32年の機関誌を所蔵場所の都合により調査することができなかったため、この期間の資料を今後の追加調査の際に収集する必要がある。 さらに、調査の際に収集した情報を分析し、研究成果の一部を発表することができた。 以上により、(2)の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、資料の調査と分析、研究成果の発表、継続的に行うべき活動を着実に進めていきたい。 なお、今回の調査結果によって、新たに研究対象に入れるべき資料と訪問すべき調査箇所を発見したため、今後の研究の推進方策の一部を見直す必要があると判断した。 まず、当初は、少年赤十字の機関誌を中心に調査を行う予定であったが、本研究の目的を果たすために、赤十字に関連する資料(機関誌、事業年報、社史等)も有効な資料であることがわかったため、これらの資料を研究対象に入れたい。次年度以降は、計画した調査箇所にこのような資料が保存されているかどうかを再確認するとともに、必要に応じて調査箇所を変更する。 次に、次年度以降に計画した調査箇所は、イギリス、ハンガリー、チェコであったが、今回の調査によって、赤十字本部が設置されているジュネーブ、そして国際通信交換を活発に行っていたポーランドとイタリアにおける資料調査をすることで、より高い成果を出すことができると判断したため、現時点では、上記の箇所における調査の可能性を検討している。さらに、フランス少年赤十字も、盛んに国際交流を行っていたため、フランス少年赤十字の機関誌だけではなく、フランス赤十字に関連する資料も調査する必要があると思われる。これ以降は、こうした資料の調査の可能性を検討したい。一方、ハンガリーは、日本、アメリカ、チェコスロバキア、ポーランド、カナダ、フランス、イタリア等より、交流回数が格段に少なかったため、ハンガリーにおける資料調査の必要性を再検討する。 なお、次年度は、新型コロナウィルス感染の拡大のため、海外調査は一回のみになる可能性が非常に高い。
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