2022 Fiscal Year Annual Research Report
書状形式の文書からみた日本中世の政治的コミュニケーションと国制-鎌倉期を中心に
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19K13346
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
佐藤 雄基 立教大学, 文学部, 教授 (00726573)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本中世史 / 古文書学 / 法制史 / 書状 / 鎌倉幕府法 / 御成敗式目 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は公刊された史料集を利用して、効率的に研究を進めることができた。その一端は、鎌倉幕府の「法」(御成敗式目および追加法)が、実際にどのように古文書に引用されているのか、その運用事例を収集し、「法を手にした地頭と地下―鎌倉幕府法はどのように広がったか 」(第13回中世地下文書研究会@オンライン 2022年6月25日)という口頭発表を行った。「法」、正確にいえば法文がどのように理解され、同時代の人びとに解釈されていたのか、という問題提起は、古文書をはじめとする中世史料一般が同時代的にどのように解釈され、利用されていたのかという問題系に通底しており、テクストのありかたや同時代的なリテラシーの実態を考えることにもなる。 さらに、書評会「中塚武『気候適応の日本史』を読む」(オンライン、2022年6月13日)では「「中周期」の気候変動と中世日本:記憶と統治」 と題する報告を行い、鎌倉時代の政治文化と気候変動の関係を論じた。 4年目となる本年度はこれまでの研究成果をまとめながら、論文・著書として公表する準備を進めた。期間終了後になるが、「守矢家文書における鎌倉幕府発給文書―原本調査による正文の検証」(春田直紀編『列島の中世地下文書ー諏訪・四国山地・肥後』勉誠出版、2023年5月刊行予定)、「五十一という神話:御成敗式目と十七条憲法」(『古文書研究』95号、2023年7月刊行予定)および『御成敗式目』(中公新書、2023年7月刊行予定)の刊行が決定しており、さらに鎌倉期の書状・古文書をテーマにした論文の執筆を予定している。 日本の古文書学の研究状況に関して、中国の古文書学者を読者として想定して執筆した研究動向論文「日本中世古文書学の発展と課題」を執筆し、中国語への翻訳作業を進めている。こちらは『档案学通訊』(中国人民大学)2023年3号に掲載される予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Book] 列島の中世地下文書ー諏訪・四国山地・肥後2023
Author(s)
春田直紀,村石正行,岩永紘和,金澤木綿,佐藤雄基,湯浅治久,楠瀬慶太,村上絢一,荒田雄市,池松直樹,呉座勇一,菊地大樹,廣田浩治,春田直紀,小川弘和,似鳥雄一,柳田快明,有木芳隆
Total Pages
272
Publisher
勉誠出版
ISBN
978-4-585-32528-4
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