2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K13348
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
北村 安裕 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (50646263)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大土地経営 / 荘園 / 現地調査 / 古代史料 |
Outline of Annual Research Achievements |
(a)大化以前の大土地所有との比較研究…大化以前の大土地経営から「律令制下の荘園」への展開過程について、現在まで分かっている点をまとめた上で、研究上の問題点について提示した。ここでの研究成果は、近日公表する予定である。 (b)地域史料の集約的研究…2020年2月6~7日に兵庫県たつの市・赤穂市・太子町等、22~23日に奈良県五條市等、3月13~14日に福井県福井市・坂井市等で、現地調査を実施した。兵庫県の調査では、法隆寺領の鵤荘や、製塩を目的とした赤穂をはじめとした播磨国の荘園について、現地の地形等を調査し、あわせてたつの市御津町・室津町などを訪ねて瀬戸内海の水上交通の関係について考察した。奈良県の調査では、五條市の栄山寺が所蔵する石碑断片(藤原仲麻呂墓を示すものか)について、大阪市立大学の磐下徹ゼミと合同調査を実施し、あわせて伝藤原武智麻呂墓など、栄山寺領とも関係の深い史跡についても実地調査した。福井県の調査では、主として東大寺領の桑原荘・鯖田国富荘・道守荘・糞置荘の故地について、地名・地形・交通路等を探り、古墳や寺院跡などの周辺遺跡についても実地調査した。各調査では貴重な成果を得ることができたが、特に福井県については予備的調査にとどまる面も残しており、さらに複数回の調査を要することが分かった。 (c)その他…荘園をめぐる政治情勢の変化や、荘園に関する史料について検討し、著書1冊(共著)、論文2本(単著1、共著1)を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「律令制下の荘園」と大化以前の大土地経営の関係に関する予備的な考察を終了し、予定していた現地調査もおおむね実行できた。さらに、当初の予定を越えて中世以降の荘園との比較の必要性から、中世荘園が形を表す契機となる11世紀の古記録(『水左記』)の分析も、他機関との連携のもとで進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
「律令制下の荘園」が法制的に位置づけられていく契機となる、墾田法の整備についてより詳しい考察が必要となってきたため、この点について深めていく。また、昨年度の現地調査の結果をまとめるとともに、今年度は、石川・富山、さらには四国の荘園についても現地調査を実施したい。ただし、新型コロナウイルスの蔓延もあり、計画通りに実行できない可能性も残るため、臨機応変に研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通りに助成金を使用したため、ほとんど差額は生じなかった。2020年度も、研究の参考となる書籍・史料や、研究遂行上必要な機材の購入(今年度は老朽化したPCの更新を予定)、出張等(史料に関する研究会、および現地調査)に適正な使用を期したい。
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Research Products
(3 results)