2019 Fiscal Year Research-status Report
ナチズム期におけるハイデルベルク大学との学術交流の実態研究
Project/Area Number |
19K13349
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
久野 譲太郎 同志社大学, 人文科学研究所, 嘱託研究員 (10755391)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ハイデルベルク大学 / 日独学術交流史 / ナチズム期 / 留学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、主として、資料を保存するドイツ、ハイデルベルク大学へ赴き、当大学公文書館において約3か月間の資料調査と収集、ならびにフィールドワークをおこなった。 結果として、今回の滞在では、本研究の遂行に必要となる資料群の約半分程度を閲覧、重要な資料を収集することができた。これにより、ナチズム期に当大学に留学し学籍を登録した日本人の存在が具体的に明らかになるとともに、その留学の規模や推移についてもある程度明らかになりつつある。またフィールドワークにおいても同様、当時の留学生たちの下宿先などを訪問することで貴重な情報を収集することができた。現在はこうして収集した資料群と情報の整理をおこなうと同時に、順次、当該留学生たちについての更に詳しい情報を、日本側の資料や文献とも照合しつつ調査中である。 加えて、今回の現地滞在ではハイデルベルク大学の多くの研究者たちと積極的な意見交換や研究会をおこなった。その結果、これを機に国際的な共同研究プロジェクトを立ち上げることにも成功した。そのため、現在、ハイデルベルクと京都もしくは大阪で定期的に研究会を開催することを企画中である。本研究の成果もそこで報告することとなっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(理由) 本研究ではドイツ、ハイデルベルク大学の大学公文書館に保存される資料群がその調査研究の基礎をなすが、その分量が当初予想されていたよりもはるかに多かった。従って、そのなかから日本人留学生に関する資料を探索し選別するにはかなりの手間と時間を必要とする。加えて、当時の資料は古いドイツ語で筆記されている場合が多く、これを解読するのにも相当な時間を要している。しかも、当公文書館において資料を閲覧・複写する場合には必ず当館の研究員やスタッフにその依頼をおこなう必要があり、そのため、自分で勝手に書庫に入って自由に調査するということはできない。こうした規則上の制約も手伝って、思うようには調査を進捗させることができなかった。 また、さらに、今年に入ってからは新型コロナウィルス感染拡大のため、大学をはじめとする各研究機関がほとんど利用できないうえ、海外研究者との研究会も開催できていない状況にある。 以上の理由から、現在、研究計画段階での想定よりもやや遅延している状態である。
|
Strategy for Future Research Activity |
(今後の研究の推進方策) 今後は、今年度収集した資料群の整理と詳細な調査を更に進めると同時に、次年度は再度現地に滞在し、残りの資料群の収集活動を展開する。また、今年度立ち上げた現地研究者との国際共同研究のプロジェクトを具体的に推進し、定期的に研究会を開催する予定である。ただし、これらについては、現在世界規模で新型コロナウィルスの感染拡大が続いており、予断を許さない状況にある。そのため計画通りに実行できるかは不明である。よって今後の状況推移を見極めながら、適宜渡独の時期や研究会の開催を判断することになる。 なお、その際、以下の点で研究計画の若干の変更をおこなう。 計画段階では、資料の基礎的研究と並んで留学生たちの思想史的研究にも同等の比重が置かれていたが、本研究ではまずは、基礎的・実証的研究の方にこそより大きな比重を置き、その完成を優先させることとする。なぜなら前者は後者の成果に立脚するものであるため、学術交流の実態解明に当たっては、やはり、まずは後者の着実な解明こそが先決事項と判断したからである。よって、今後本研究では、まずはナチズム期ハイデルベルク大学への留学に関する基礎的事実の調査解明と実証的分析に研究活動の比重を置きながら、同時に思想史的研究にも可能な限り着手することにする。 加えて、研究成果の国民に対する発信方法は、ホームページを予定していたが、日独両国の大学での公開講演やパネル展示、パンフレット作成等に変更を考えている。資料の目録は計画通り作成し、主要機関に配布する予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度購入予定であった書籍が商品欠品中であったために購入が遅延し、結果としてその差額が次年度使用額として生じた。なお、翌年度分として請求の助成金は、本年度同様、主としてドイツでの在外研究用の旅費および必要書籍の購入費として使用する予定である。従って、次年度使用額もこれに加えて使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)