2020 Fiscal Year Research-status Report
ナチズム期におけるハイデルベルク大学との学術交流の実態研究
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19K13349
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
久野 譲太郎 同志社大学, 人文科学研究所, 嘱託研究員 (10755391)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ハイデルベルク大学 / 日独学術交流史 / ナチズム期 / 留学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、主として日本国内で入手可能な資料の収集、ならびに前年度ドイツにて収集済資料の整理をおこなった。 なぜなら、2020年度は「新型コロナウィルス」の世界的蔓延のため、本来の調査研究地であるドイツ、ハイデルベルク大学に客員研究員として滞在することが一度もできなかったからである。そのため当研究課題の遂行に必要となる資料群の新たな調査収集ならびに現地研究者との交流など、主要な研究活動の展開がまったくおこなえなかった。 したがって、その代わり、日本国内での限られた資料や二次文献の収集をおこなうとともに、前年度までで収集していた現地主要資料の整理と分析に努めた。その結果、あくまで限られた範囲内でではあるが、ナチズム期前半における日本からハイデルベルク大学への留学の実態についてある程度は明らかにすることができた。また、当該研究課題以前に調査したナチズム期以前、すなわちヴァイマール期における日本から当大学への留学状況と比較をおこなうことで、ナチズム期留学の相対的な規模と推移、性格等を明らかにすることができた。現在、これら留学生たちについてのより詳細な名簿と現地公文書館に現存する資料の目録を作成中である。 なお、次年度はウィルスの感染状況が落ち着き、渡航許可が出し次第、再び渡独して資料の網羅的収集と調査を展開する。また併せて、こちらも同じく新型コロナウィルスの影響で中断している当該研究課題とも密接に関わる国際共同研究プロジェクトを、現地研究者たちと再開する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
遅延の最大の理由は、世界的な「新型コロナウィルス」の感染拡大による国外渡航の制限である。 本研究ではドイツ、ハイデルベルク大学の大学公文書館に保存される資料群の収集と調査がその主な基礎をなしている。しかし2020年度はウィルスの感染拡大のため、そもそもドイツを含めたヨーロッパへの渡航自体が完全に不可能な状況にあった。また当然ながら日本のみならず、現地でも都市のロックダウン等により、大学や研究機関が閉鎖され、しばらくはまったく利用することもできなかった。今後の状況次第ではあるが、しかし感染の拡大が終息しないことから、今後もまた閉鎖される可能性がかなり高い。 これに加えて、すでに前年度までに現地にて収集していた資料群に関しても、資料は基本的に古い書体の手書きのドイツ語で筆記されている場合が多かった。このため、これらを解読するのに当初予想した以上の時間と手間を要している。 以上の理由から、現在、研究計画段階での想定よりも大幅な遅延が発生している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、一方で2019年度に収集した資料群の整理と詳細な調査を一層進めると同時に、これを現在すでにとりかかっている留学生名簿や現存資料目録の作成に反映させてゆく予定である。他方、同時に、「新型コロナウィルス」の感染拡大が終息に向かい、渡航制限が解除され次第、再びハイデルベルク大学に客員研究員として滞在し、残りの膨大な資料群の調査、収集をおこなう。 また、同じく現在ウィルスの拡大影響で中断している現地研究者たちとの国際共同研究プロジェクトについてもこれを適宜再開し、日独両国で定期的に研究会等を開催する予定である。これに関しては現在も現地研究者たちと連絡をとり合っている。 なお、「研究方針」として、本研究では個別的な思想史的分析よりもまずは留学全体の基礎的研究により比重を置き、その完成を優先させること、ならびに「研究成果の国民に対する発信方法」として、公開講演や目録配布をおこなうことについては、前年度進捗報告で計画変更を報告したとおり、依然この方針で進める予定である。
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Causes of Carryover |
当初2020年度もおこなうはずであったドイツ、ハイデルベルク大学での研究滞在が、「新型コロナウィルス」の世界的感染拡大に伴う両国の渡航制限のためにおこなえなかった。そのため旅費としての支出が減少し、結果として大幅な次年度使用額が発生した。 したがって次年度は渡航制限が解除され次第、在外研究のための旅費としてこれを使用する予定である。なお、そのほかに次年度は必要機材や書籍の購入等にもこれを使用する予定である。
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