2021 Fiscal Year Research-status Report
ナチズム期におけるハイデルベルク大学との学術交流の実態研究
Project/Area Number |
19K13349
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
久野 譲太郎 同志社大学, 人文科学研究所, 嘱託研究員 (10755391)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ハイデルベルク大学 / 学術交流 / ヴァイマール期 / ナチズム期 / 新カント派 / 留学史 / 思想史 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までにつづき、本年度も再び世界的な新型コロナウィルスの感染拡大による渡航制限のため、ドイツに渡航しての客員研究員としての調査・研究活動は不可能であった。このため、本研究課題の主軸をなすハイデルベルク大学公文書館における資料調査・収集ならびに現地でのフィールドワークについては依然停滞したままである。 したがって今年度は、ナチズム期についての新たな資料収集やこれに基づくデータ分析作業等は一旦留保し、以前に交付を受けた科研費による研究課題でもあった、ナチズム期に先立つヴァイマール期におけるハイデルベルク大学と日本の学術交流の内容を一層充実させることに努めた。すなわち、これまでの調査では不完全であった情報の精度を今年度おこなった国内での調査活動を通じて飛躍的に向上させるとともに、また、コロナ禍以前(2019年度)に現地で収集したナチズム期に関わる情報や昨年度までにおこなったその整理・分析結果をもヴァイマール期へとフィードバック・追加することによって、この時期における学術交流の特色と全体像をより精確で鮮明なものとした。 上記研究の成果として、ハイデルベルク大学のオンライン学術雑誌に調査結果に関わる論考を発表するとともに、さらにこれを改訂のうえで解説として添えた総合目録、『ヴァイマール期ハイデルベルク大学の日本人留学生-在籍者名簿および現存資料目録-』を作成した。当該総合目録はすでに印刷済であり、今後、順次、国立国会図書館や大学図書館をはじめとした日本の関連研究機関および、同じくドイツやオーストリアの関連研究機関に配布する予定である。 なお、以上に加えてナチズム期それ自体の調査も国内で可能な範囲において展開した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度につづく新型コロナウィルスの世界的蔓延に基づく渡航制限により、今年度もまた、本来、本研究活動の中核を形づくるはずのドイツ・ハイデルベルク大学公文書館における資料調査・収集活動ならびに現地フィールドワークを展開することが不可能であった。また同じ理由から、ハイデルベルク大学側の研究者たちとの国際共同研究もおこないえなかった。 以上の理由により、現在、研究計画段階での想定よりも大幅な遅延が発生している状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在の状況から判断する限り、新型コロナウィルスの感染は依然つづいてはいるものの、渡航制限は徐々に解除されてきている。このため、次年度こそは再びハイデルベルク大学に客員研究員として滞在し、残りの膨大な資料群の調査、収集をおこなう予定である。目下、今夏の渡航を目指してすでに現地大学の研究者と連絡をとり、そのための準備に入っている。 また、同じく現在ウィルスの拡大影響で中断している現地研究者たちとの国際共同研究プロジェクトについてもこれを適宜再開し、日独両国で定期的に研究会等を開催する予定である。ただし、現在、新型コロナウィルスの感染拡大に加え、ウクライナ・ロシア情勢も予断を許さない状況にある。このため、場合によっては渡航をやや延期する可能性もある。 なお、研究方針として、本研究では個別的な思想史的分析よりもまずは留学全体の基礎的研究により比重を置き、その完成を優先させること、ならびに研究成果の国民に対する発信方法として、公開講演や目録配布等をおこなうことについては、前年度進捗報告でも報告をおこなったとおりである。
|
Causes of Carryover |
当初は今年度こそおこなうはずであったドイツ、ハイデルベルク大学における研究滞在が、新型コロナウィルスの世界的感染拡大に伴う渡航制限のために再びおこないえなかった。そのため旅費としての支出が減少し、結果として大幅な次年度使用額が発生した。 現在は徐々に渡航制限が解除されつつあるため、次年度は在外研究のための旅費としてこれを使用する予定である。なお、そのほかにも次年度は必要機材や書籍の購入等にもこれを使用する予定である。
|
Remarks |
久野譲太郎『ヴァイマール期ハイデルベルク大学の日本人留学生―在籍者名簿および現存資料目録―』を作成し日独の関連研究機関に配布。
|
Research Products
(1 results)