2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K13355
|
Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
平泉 紀房 金沢工業大学, 基礎教育部, 講師 (30747960)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 豊宮崎文庫 / 神宮文庫 / 伊勢神道 / 出口延佳 / 文庫籍中 / 御師 |
Outline of Annual Research Achievements |
金沢市玉川図書館が所蔵する大島文庫本『豊宮崎文庫書籍目録』について検討し、本書が寛政2年(1790)に成立した目録の写しであり、内容も昨年度までに把握してきた5種類の目録とは異なっている事を確認した。本目録の成立は天明2年(1782)に行なわれた文庫改修の直後にあたり、当時収蔵していた書籍の再確認を企図して編まれたものと推測した。またこれより幾らも遅れて成立する目録群は、何れも夥しい書籍の分類項目を備えているという点で本書とは大きく異なっており、文庫再興後に蔵書の整理が飛躍的に進んだことが窺われる。なお研究を取り巻く環境について言えば、新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から県外出張が困難であったために、本年度に得られた成果は以上に留まった。今後、感染症の予防措置が緩和され次第、神宮文庫に赴き、本研究当初の目的である文庫設立当時における書籍収集活動に重きを置いた史料調査を実施したい。無論、神宮文庫が所蔵する豊宮崎文庫本の悉皆調査が理想ではあるが、時間の制約もあり文庫成立初期の、しかも文庫籍中(文庫の運営組織)の活動内容の把握に注力する事とする。他方で文庫に対する書籍の奉納にも目を配り、伊勢の外宮周辺地域を中心に形成された書のネットワークとその意義について考究する事を目的としている。なお感染症による影響が続いた場合は、書籍目録から読み取れる蔵書の拡充過程について明らかにし、増加する書籍の傾向から、文庫の在り方とその変遷について検討する事としたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大防止のために史料調査を断念せざるを得ない状況が続いている。本研究の目的である豊宮崎文庫成立当初の活動実態の把握は、あくまでも三重県の神宮文庫に足を運び、所蔵される豊宮崎文庫本を調査する事によって可能となる。しかし、研究を開始してより程なくして感染症の拡大防止が呼びかけられ、今日に至るまで1度たりとも史料調査の機会を得られていない。かかる事情により、研究期間の延長申請は免れ得ないものと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
長く新型コロナウィルスの感染拡大防止のために行ない得なかった神宮文庫での史料調査を実施し、豊宮崎文庫の設立当初に籍中(運営組織)がいかにして書籍を収集していたのか、その実態把握に努めたい。文庫の書籍は書肆から購入するか、あるいは籍中による写本。もしくは献本に拠っていた。ここでは特に書写に注目し、籍中の活動について誰が、何処に原本を求めていたのかを確認し、文庫に於ける書のネットワークを、ひいては文庫設立の意図を考察する事を目的としている。得られた成果は論文ないし学会報告という形で公表し、作成した目録一覧などの史料については神宮文庫に提供する事とする。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大防止を目的とした行動制限のために、本研究の主な作業である史料調査が一切行われなかったことによる。感染症対策が緩和され次第、神宮文庫に赴き、豊宮崎文庫の蔵本を調査する事としたい。なお一向に行動制限が緩和されなかった場合はすでに調査した資料(豊宮崎文庫蔵書目録)の検討を進め、文庫の拡充過程を跡付ける作業を行なう事とする。
|
Research Products
(1 results)