2020 Fiscal Year Research-status Report
外交文書の「見た目」から読み解く近世日朝関係の特質
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19K13356
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Research Institution | Maizuru National College of Technology |
Principal Investigator |
牧野 雅司 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10754301)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 対馬藩 / 朝鮮 / 幕府 / 以酊庵 / 外交文書 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も昨年度から継続している書契のデータベース化を進めた。データベース化がまだ18世紀に入ったところであり、依然として完了しているのは一部に過ぎないものの、いくつかの特徴を指摘することができそうである。 まず、近世末期においては必ず擡頭される字句であっても、17世紀の段階では擡頭されていないものがいくつか見られる。また、対馬藩主から東莱府使に対して用いられる敬称にも若干の揺れが見られる。これはすなわち、近世日朝関係のどこかのタイミングでその揺らぎが正され、ルール化されていることを意味する。どの段階で、何を理由にルール化されているのかについて検討していくことは、本研究の目指すところである。 また、データベース化を進めていくなかで、現在史料として用いている『両国往復書謄』が持つ特徴も明らかとなった。まず、掲載されている書契の文面について、記載内容が記録作成者によって左右されている点である。冊子によっては、定例となっている部分や差出・宛先の省略、文章の基本ラインが曖昧になっているものなどが見られる。また、19世紀初頭に入って写されたものが多いという点も挙げられる。なぜこの時期に写が作成されたのかという点も論点となるが、こうした写には略記が多いという傾向が見られ、抽出するデータが必ずしも均質とはならない。これらの理由から、抽出したデータについては、それぞれの作成者や冊子それぞれの個性を考慮に入れて検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度も当初予定していたところまでデータベース化を進めることができなかった。前述の通り、抽出するデータが必ずしも均質なものではなく、機械的な作業のみでデータを抽出することができない。そのため、当初の予定よりも時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も書契から必要な情報を抽出し、データベースを充実させていくことを中心に作業を行っていく。一方で、変化が見られる時期や事例については、周辺の史料にもアプローチし、その変化の要因やその際の外交交渉の様子などを解明していくこととする。現状では国立国会図書館や東京大学史料編纂所、慶応大学附属図書館、長崎県対馬歴史研究センター、大韓民国国史編纂委員会などで史料調査を行うことは難しい。そのため、オンラインで公開されている史料や手元に収集してある史料を用いて可能な限りの分析を行っていく。 また、データベースの充実とともに、その様式にも変更を加えていくつもりである。具体的には、それぞれの書契の種類や用途について、表題だけでは不明なものが多い。そのため、年条と不時の区別、またその中でも小差使・大差使の区別、往翰・回翰など、利用や分析に用いやすくなるよう、整備していくつもりである。
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Causes of Carryover |
本研究においては、他機関への史料調査費用を多く計上している。しかし、今年度は新型コロナウイルスへの対応や校務の多忙化により史料調査に行くことができなかった。そのため、使用額が少額となった。
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