2021 Fiscal Year Research-status Report
Studies on the Wooden Tablets in Medieval Period in Japan
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19K13358
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Research Institution | Gangoji Institute for Research of Cultural Property |
Principal Investigator |
服部 光真 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (00746498)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 木札 / 金石文 / 御霊神社 / 庶民信仰資料 / 仏教民俗資料 / 中世史料学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では①中世木札文書の個別事例の具体的検討、②中世木札文書の事例収集という大きく二本立てでの検討を進めており、今年度はそれぞれ以下の通り成果を得た。 ①中世木札文書の個別事例の具体的検討に関しては、大和国御霊神社本宮に所蔵される元徳3年(1331)銘一揆契状木札について、原物資料の調査に基づきその銘文や機能について論じた「鎌倉末期大和国宇智郡の領主一揆に関する一史料―元徳三年円栄他二十四名一揆契状写木札について―」を『鎌倉遺文研究』第47号に発表した(2021年4月)。新型コロナウイルスの感染拡大状況を鑑みて、県外・遠方への調査は果たせなかったが、他の事例についても過去の調査資料や文献などにより検討を進めた。その他、中世木札の帰結および近世への展望を探るため、近世初頭の木札の事例として、大和国阿弥陀寺の寛永5年(1628)銘寺役法度木札を調査した。その報告と考察を含む論稿を準備している。 中世木札文書の事例収集に関しては、先学の成果に学びつつ諸種の史料集から、現存する木札の例、古記録や近世地誌などに写された木札の例の集成を進めている。本研究でとりあげた事例の一つである大和国御霊神社本宮所蔵木札に関する研究成果や、一連の事例収集などの成果を踏まえて、木札研究全体の課題と展望を、「中世木札研究の一視点―庶民信仰資料・仏教民俗資料と金石文をめぐって―」と題して論稿にまとめ、『奈良歴史研究』第92号に発表した(2021年8月)。古文書学、金石文研究、仏教民俗学との関わりで中世木札に関する研究史を整理することで、中世史料学全体の中での木札資料の位置づけを検討することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大状況を鑑みて、当初予定していた三河普門寺などの県外・遠方への現物調査や文献調査を見送ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染状況のため延期してきた遠方への出張調査については、状況を見ながら行っていく。状況が好転せず調査が果たせない場合は、所内での史料集などの文献による収集・分析を重点化するとともに、現物調査の対象として近県の事例を組み込むなどして対応する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大状況を鑑み、当初予定していた愛知県への現地調査、東京都への文献調査の出張を延期したため、旅費の執行ができなかった。次年度は状況を見ながら、延期してきた現地調査を実施していく。状況が好転しない場合は近県への調査や、資料集などによる分析を重点的に行い、所期の研究課題達成を図る。
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