2023 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on the Wooden Tablets in Medieval Period in Japan
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19K13358
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Research Institution | Gangoji Institute for Research of Cultural Property |
Principal Investigator |
服部 光真 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (00746498)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 木札 / 金石文 / 中世史料学 / 普門寺 / 本興寺 / 円成寺 / 木札文書 / 供養札 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では(1)中世木札文書の個別事例の具体的検討、(2)中世木札文書の事例収集という大きく二本立てでの検討を進めた。 (1)中世木札文書の個別事例の具体的検討として、今年度は近江国湖東地域の木札資料や、研究分担者を務める科研費「寺院伝来の文献史料および文字史料の総合による中近世寺院史料学の構築」(基盤研究C、研究代表者三宅徹誠氏)との連携により大和国忍辱山円成寺所蔵木札を調査した。昨年度まで関連資料調査を行ってきた遠江国本興寺の木札・関係資料については、調査成果を踏まえた新稿を執筆して提出した。来年度中には刊行される見込みである。また、今年度は赤外線カメラ撮影による記録保存も課題とした。大和国御霊神社本宮所蔵の一揆契状木札は状態が良くなく、記録保存が必要と判断されたため、赤外線カメラによる撮影を行った。本格的な赤外線撮影画像は初めてのものとなる。また三河国普門寺所蔵の中世木札3点は修復のため当研究所に寄託されており、記録保存の好機であるため、赤外線カメラによって細部にわたり撮影を行った。また新出の個人蔵の中世木札についても記録のため写真撮影を実施した。 (2)中世木札文書の事例蒐集として、先学の成果に学びつつ諸種の史料集から、現存する木札の例、古記録や近世地誌などに写された木札の例の集成を進めた。こうした事例蒐集や個別事例の研究を踏まえて、聖教調査の成果を積極的に取り入れていくべきことが自覚され、研究分担者を務める「寺院伝来の文献史料および文字史料の総合による中近世寺院史料学の構築」(前掲)での忍辱山円成寺調査で確認された聖教から木札関係の資料を見いだし、分析を行った。その成果は、神奈川県立金沢文庫で開催された第4回日本宗教文献調査学合同研究集会「聖教書誌学を考える」にて、「寺院史料のなかの「聖教とそのかたち」―木札資料・板木との関係に注目して―」と題して報告した。
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