2020 Fiscal Year Research-status Report
再考:海と山の縄文人 ‐四肢骨骨幹部から縄文人の生活様式を復元する‐
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19K13418
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
萩原 康雄 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 助教 (00780256)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 縄文時代人骨 / 四肢骨 / 時期差 / 地域差 / CSG |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,日本列島各地から出土した縄文時代人骨を網羅的に調査,解析することで,縄文時代人の四肢骨の形態学的特徴と,その地域,時期的な多様性と共通性を明らかにし,その背景にある縄文時代の人々の生活様式を復元することを目的とするものである. 2020年度は10か所以上の研究機関で縄文時代人骨の資料調査を実施する計画であったが,COVID19流行の影響を受けて全ての資料調査計画が中止となった.そのため,計測したデータ数としては2019年度終了時点から変わりない. 上記の状況から,2020年度はこれまでに得られた計測データの整理と論文の執筆に努めた.2020年度に得られた成果を以下に示す.(1)縄文時代集団の四肢骨形態に地理的環境が与える影響は時期によって異なる傾向が認められる.縄文時代早前期では内陸地域の男女で柱状性の発達した大腿骨や扁平な脛骨を認めるのに対し,海岸部では女性の大腿骨の柱状性や脛骨の扁平性は男性と比較して弱い.縄文時代中期以降では内陸部でも海岸部の早前期集団と似た傾向が認められる.2021年度には,GISを用いて地理的情報を定量化することでより詳細な比較を行うとともに,特に縄文時代早前期集団の追加計測を行う必要がある.(2)縄文時代集団の腓骨骨幹部の弯曲の傾向は,前額面上では現代日本人との集団差や性差を認めないが,矢状面上では頚体角の増大、および骨幹部の前方凸の弯曲をする傾向を示し,この傾向は男性の骨幹部が太い個体でより顕著である.なお,2020年度に論文1編が国際誌に掲載され,1篇を国際誌に投稿準備中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度はCOVID-19流行の影響を受け,研究計画立案時に予定していた縄文時代人骨資料の調査を実施することができなかった.研究計画立案当初は2019年度と2020年度に主な資料調査を完了する予定であったことから,研究の進捗状況は当初の計画から遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は資料調査の進捗に遅れが生じたため,2021年度は2020年度に計画していた資料調査を追加で実施する.COVID-19流行の影響が継続し,資料の追加計測が困難となる状況も想定し,現在得られている計測データに基づく成果の整理も並行して実施する.
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Causes of Carryover |
COVID-19流行の影響を受けて資料調査を全て中止としたため.この経費は2021年度に資料調査旅費として使用予定である.
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Research Products
(1 results)