2019 Fiscal Year Research-status Report
近代日本の皇位継承・皇室制度とドイツ法学――制度と学知の継受史――
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19K13487
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
藤川 直樹 神戸学院大学, 法学部, 講師 (00632225)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 王室家憲 / 王位継承 / 公法学史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は筆者のこれまでの研究を基礎として近代ドイツの王位継承法理論および王室家憲の問題(とりわけ王族身分の問題)を検討した。その成果として以下の2点の論文が公表された。 ①「一九世紀ドイツ公法学における『君侯法』(三)・(四)・(五・完)――王位継承法理論の展開を中心として――」国家学会雑誌132巻3・4号、5・6号、7・8号(2019年)は19世紀後半の法学説(特に王位継承法の変更に際する王族同意権の問題)の分析を通じて、「君侯法」という概念それ自体が近代ドイツ国法学体系の成立及び限界のいわば指標であったという結論を得ると同時に、20世紀初頭のドイツおよび日本の公法学説の論争の構造的相違を考える有力な手掛かりを得た。また、個別の論点としては20世紀初頭のドイツにおける退位論の議論構図を描出した。 これを踏まえて、②「ドイツ第二帝政期における「領邦君主の家族」の身分と法学――ザクセン、コーブルク=ゴータ、オルデンブルク――」額定其労・佐々木健・髙田久美・丸本由美子編『身分と経済(法制史学会70周年記念若手論文集)』(慈学社、2019年)においては、ドイツ第二帝政期の私法学・刑法学・公法学においてそれぞれ「領邦君主の家族」(=王族)がどのように扱われたのかを具体的な紛争事例(ザクセン王太子妃事件、ブルガリア侯不敬罪事件、オルデンブルク大公位継承問題)に即して論じ、およそ「領邦君主の家族」(ないし「君侯法」)を法学的検討対象とすること自体が自明ではなく、そこには君主主義的・貴族主義的な保守的志向ではなく、寧ろ領邦君主の家族関係の法的明確化を目指す市民的法治国家思考が見られることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進展しているが、ドイツにおける事前調査は、夏季休暇中においては申請時に予定していなかった集中講義の用務が出来したため、春季休暇中においてはコロナ禍の影響により海外渡航を見合わせるべき事態となったため、行い得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、概ね当初計画に従って研究を進める。2019年度に行いえなかったドイツにおける事前調査は、本年度についても現在のコロナ禍による状況は依然予断を許さない。現地調査期間を可能な限り短縮できるよう、調査対象を適宜限定したい。
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Causes of Carryover |
学務上・安全保障上の理由で海外調査が困難になったため。コロナ禍の状況を注視しつつ、2020年度の調査実施を試みる。
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Research Products
(4 results)