2019 Fiscal Year Research-status Report
国際比較による『利得禁止原則』の見直し~ドイツ・日本・そして東アジア~
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19K13572
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Research Institution | Nagoya Keizai University |
Principal Investigator |
濱口 弘太郎 名古屋経済大学, 法学部, 准教授 (50756319)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 損害賠償 / 後期高齢者医療給付 / 遅延損害金 / 扶養 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、平成31年4月10日付け交付申請書記載の通り、ドイツ法並びに中国法(台湾法を含む)及びベトナム法等との、比較法的研究により、損害賠償法における「利得禁止原則」の見直しを行うことを目的とするものである。 そのような観点から、最高裁判所令和元年9月6日判決民集73巻4号419ページ(高齢者の医療の確保に関する法律による後期高齢者医療給付を行った後期高齢者医療広域連合が、当該給付により代位取得した不法行為に基づく損害賠償請求権にかかる債務についての遅延損害金の起算日が問題となった事例)について検討を行い、名経法学44号95頁以下で公表した。検討結果の概略を示すと、判例は損害保険における請求権代位と高齢者の医療の確保に関する法律による損害賠償請求権の移転を別のものとして扱っており、前者においては単に被保険者の有していた損害賠償請求権が移転するのに対し、後者においては元々当該後期高齢者に損害は発生しておらず、後期高齢者医療広域連合に生じた損害について、被害者が有していた損害賠償請求権の形をとって損害賠償請求権が発生するものであると考えられる。 また、従来の判例通説に従えば、不法行為等によって年少の子どもが死亡し、親の扶養義務が消滅した場合であっても、当該義務については損害賠償において考慮しない、つまり、利得禁止の対象外であるとされてきたところである。そこで、成年年齢の引き下げに伴い、大学生のほぼ全員が成年でありながら扶養対象者でもあるという事態が生じるところ、この扶養問題について検討を行い、名経法学43号1頁以下で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年2月にベトナム法研究のため、ベトナム出張を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、出張することができなかった。そのため、当初予定していたベトナム法研究が行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの影響により、次年度以降にベトナム出張を行う予定である。 また、必要に応じて、研究計画を変更する。
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Causes of Carryover |
2020年2月にベトナム出張を予定していたが、新型コロナウイルスの影響により、出張することができなかった。残高はそのために生じたものである。 研究計画の見直しが必要であるが、ベトナム出張は次年度以降に行うことを予定している。
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