2020 Fiscal Year Research-status Report
国際比較による『利得禁止原則』の見直し~ドイツ・日本・そして東アジア~
Project/Area Number |
19K13572
|
Research Institution | Nagoya Keizai University |
Principal Investigator |
濱口 弘太郎 名古屋経済大学, 法学部, 准教授 (50756319)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 損益相殺 / 損害 |
Outline of Annual Research Achievements |
交付申請書においては、2020年度頃に、マックスプランク外国私法・国際私法研究所において、在外研究を実施する予定となっていた。しかし、コロナ渦のために、在外研究の受入も目途が立たず、また、そもそも、ドイツへの往来もおぼつかない状況となり、在外研究は延期せざるを得なくなった。 代わって、ドイツ民法研究会に参加するとともに、ドイツ法について、日本において研究を進めることとした。本来の想定とは大きく異なるが、やむを得ないものと考えている。 研究内容としては、利得禁止原則そのものの見直しに始まり、利得禁止原則が妥当する範囲について検討を進めている。 利得禁止原則は、不法行為等の損害賠償によって、被害者が利益を受けることになってはならないというものであるが、これは、法と経済学的な分析からも基礎づけられる。被害者が得をするようでは、被害者に事故発生を回避するインセンティブがないこととなり、社会的に見ても、損失が大きくなる。 一方、原状回復は、利得禁止に反するものとは考えられておらず、結局問題になるのは、回復されるべき「原状」が何なのか、賠償されるべき「損害」とは何かといったことになる。 我々は、プロイセン一般ラント法に見られる自然的な損害概念を知っているが、それが現在のドイツ法にどのような影響を与えているかは注意深く観察する必要があろう。一般に、ドイツ民法典は、Differenztheorieを採用したといわれているが、果たして、原状回復原則は、Differenztheorieを体現したものか等さらなる研究を進める必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
交付申請書においては、2020年度頃に、マックスプランク外国私法・国際私法研究所において、在外研究を実施する予定となっていた。しかし、コロナ渦のために、在外研究の受入も目途が立たず、また、そもそも、ドイツへの往来もおぼつかない状況となり、在外研究は延期せざるを得なくなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
可能であれば、在外研究を模索したいが、いまだ、コロナ渦は収束の見通しも立たない。そのため、国内における研究に主軸を移して、可能な範囲内で研究を進めていきたい。
|
Causes of Carryover |
在外研究を行う予定であったが、コロナ渦で実行できなくなったため。 機会があれば、在外研究を行いたいと考えているが、それが不可能であれば、残余金は返還する。
|