2022 Fiscal Year Annual Research Report
株主の取締役に対する会計情報の開示請求権:最適な制度設計のための比較制度研究
Project/Area Number |
19K13576
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
千手 崇史 近畿大学, 経営学部, 准教授 (80631499)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イギリス1985年会社法 / 検査役 / 非公式調査 / 自然的正義 / 公平義務 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、前年度までの研究である「直接型」の情報開示請求権と対をなす「間接型」の制度、すなわち、イギリス法上の検査役の制度について研究をした。日本にも検査役制度があるが、母法であるイギリスの同制度は現在でも大枠が変わっておらず、【1】行政庁が弁護士を選任して会社調査にあたらせる検査役制度、【2】行政庁が直接調査官を派遣する非公式調査制度という二本の制度から構築されていることなどが分かった。主要な判例ももれなく調べ上げた。 なお、この題材については、関西商事法研究会(大阪;2022年4月23日・オンライン)にて研究報告をなし、出席の先生方より多様なご指摘・ご指導を賜った。特に、この研究会で日本検査役制度の問題点に関する情報を教えていただいたが、それが極めて重要なものであり、その後の研究の発展に大きく寄与している。 また、現代企業法研究会(7月9日・於大名古屋ビルヂング)において、既に公表済みである会計帳簿閲覧謄写請求権の研究(商経学叢67巻3号)を題材に報告を行い、この分野の第一人者である先生を含め多くの先生から指南を受け、こちらも大変有益な指摘ばかりであった。 最終的に、本年度主に行ったイギリス検査役に対する研究は「イギリス会社法上の会社調査制度の概要と検査役の法的性質―「私法的色彩」を帯びた「公法上の調査権」―」(商経学叢69巻2号;2022年12月発行)として公表した。そして、この論文に、本科研費を用いたこれまでの研究成果である3本の論文(商経学叢67巻1号、67巻3号、68巻2号)を加えた合計4本の論文の抜き刷りを全国の100名以上の同分野の研究者、弁護士等の実務家などに郵送し、また、研究会が開かれる折に出席者に配布するなどした。既に、多様な観点から評価・コメントをいただいている。今後の研究方針との関連で大変有益な指摘ばかりであり、さらなる研究の指針としたい。
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Research Products
(1 results)