2021 Fiscal Year Research-status Report
全国紙の論調は極性化しているかー計量テキスト分析によるアプローチ
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19K13607
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
細貝 亮 早稲田大学, 政治経済学術院, 客員准教授 (30582259)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 分極化 / メディアの選択性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度も新型コロナウイルスまん延による施設利用の制限によって研究の方向性に若干の変更があった。4月以降、過去実施された世論調査データを再分析することで、複数のメディアの分極化の程度を統一的に測定する方法論を提案し、日本マス・コミュニケーション学会でその成果を報告した。この研究から得られた知見を発展させるべく、11月の衆院選の前後でウェブ世論調査を実施した。このデータを用い、約25のメディア(チャネル)の選択性の程度を測定した。結果として、新聞メディアの極性度は中程度であることが、判明したが、これはマスメディアに属するチャネル中では上位である。一方、最も極性度が高いメディアは対人ネットワークであり、特に家族や友人、所属団体などからの情報の選択性の高さが際立っていた。この知見は海外の先行研究とも整合的であり、インターネットが普及した高度情報化社会においても、対人ネットワークが一定の影響力を保っていることを示すものである。この成果は2022年度の研究会において発表することが決まっている。 一方、1990年代以降の世論調査データを用いて、新聞読者とテレビ視聴者が極性化しているか、あるいはその極性化が有権者の政治的意見の「感情的分極化」を引き起こしているかを検証した。それほど一貫した分析の結果は得られなかったが、少なくもマスメディア視聴によって政治的意見が分極化するという証拠は見つけられなかった。この知見の一部は、2022年5月日本選挙学会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスまん延による研究リソースの制限により、研究が遅れている。計画とはやや異なる方法で課題にアプローチすることになったが、一定の成果はあった。2022年度はリソース制限がある程度緩和される見込みのため当初予定の研究を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2つのアプローチから研究を進展させたい。第一に、2022年の参院選にあわせてウェブ世論調査を実施し、有権者の特性から視聴メディアの極性化の程度を推測する。 第二に、研究当初の目的であったテキストデータを利用した新聞の極性化の検証を実施する。新型コロナウイルスまん延にともなうリソースの制限があるため、近年のテキストデータに分析対象が限定されるが、可能な限り広い分野を対象としたい。 また2022年度は既に複数の学会・研究会発表が決まっており、これまでの成果のアウトプットにも力を入れる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスまん延による研究リソースの制限により、当初予定の支出を行えなかった。支出は主にアルバイトによる図書館資料のコピーや整理作業を予定していたが、図書館の利用制限やコロナ禍におけるアルバイト依頼に躊躇があり、作業は申請者が直接行った。2022年度は新型コロナウイルスの様子を中止しつつ、当初予定していたアルバイト作業をあらためて依頼する予定である。また他の研究者との共同研究として、ウェブ世論調査の実施計画を立てており、一部の資金をこれに充てる可能性がある。
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Research Products
(3 results)