2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K13656
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
宇都 伸之 北陸大学, 経済経営学部, 助教 (30755963)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 実験経済学 / アイトラッカー / リスク的意思決定 / 行動経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】実験経済学において,実験被験者に支払う金銭報酬額と実験で獲得した利得を比例させることを,インセンティブの付与という.行動実験においては特にRIM(ランダムインセンティブメカニズム)と呼ばれる手法が最もよく使われているため,アイトラッカーを使う実験においてもRIMが使われている.しかし,RIMが意思決定だけではなく視線運動にも影響を与えないことは検証されていない.したがって,RIMが適切な手法であるかは不明である.本研究課題の目的は,RIMと視線運動の関係を明らかすることである. 【研究の概要】前年度に引き続き,関連する研究の動向調査,実験デザインに取り組んだ.前年度にモバイルアイトラッカーによる実験実施環境が整ったことから,所属する大学と近隣の大学において予備実験を行った.モバイルアイトラッカーによる実験実施上の問題点や,視線運動データを含む様々なデータを検討し,本実験を実施する上での問題点を洗い出すことができた. 【結果】前年度の研究活動結果として,小規模地方私立大学においても実験を十分に行うことができるという見通しが得られた.しかし,実際に予備実験を行ったところ,機材やソフトウエアの不具合,被験者が実験参加に慣れていないことなどによる様々な問題点が生じた.したがって,これらの問題点を解決したうえで本実験を行う必要があることが明らかになった.当初,2020年度中に本実験に取り組む予定であったが,新型コロナウィルス感染症が世界的に流行しており,所属する大学を含め実験を実施する大学における感染防止措置により,大規模な本実験を実施することができなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の拡大が昨年度より悪化しており,被験者となる学生の入構禁止,教員の出張禁止などの感染拡大防止措置が取られた.この影響で,感染状況の谷間において小規模な予備実験しか行うことができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症の拡大状況が引き続き予測不可能であることから,実験の実施が大幅に滞る可能性がある.したがって,拡大状況が緩和し実験が実施できる状況になり次第,速やかに実験を実施するための準備を徹底する.また,実験実施までに分析手法の確立,研究動向のより詳細な調査などを行い,実験実施から論文投稿への事前準備を徹底する. Python言語をベースとした心理実験アプリケーションであるPsychoPyが注目されており,その汎用性の高さから視線運動に加え,心拍数や皮膚電気反射(GSR)の同時計測の可能性が開かれた.そこで本年度はこれらの測定可能性についても調査し,実験において測定する準備を行う. 本研究計画と関連する実験研究の結果について,学術誌への投稿を行う.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の拡大しているため,予備実験に関連する支出のみとなった.このため,使用額が大幅に減少した.未使用額については2021年度に実施予定の本実験の実施,関連する心拍数および皮膚電気反射測定装置の導入に対して支出する予定である.
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Research Products
(2 results)