2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of matching under uncertain information: for broader application of mechanisms
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19K13657
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
川崎 雄二郎 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50708352)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 救急隊配置 / 結婚支援事業 / マッチング |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、救急隊の最適配置に関する研究を行った。今年度においては、昨年度独自に構築したモデルを用いて現着時間の平均値を最小化するような手法との比較を行った。具体的には、コンピューターを用いてランダムに生成される事案データのセットによって両手法で導出される最適配置案を比較し、それぞれの傾向についての検証を行った。検証を通して、平均時間を最小化する手法においては、全体効率的な配置が提案されるものの、事案間での差が比較的大きくなりがちであること、またその一方で、最大時間を最小化する手法においては、全体効率性という面では劣るが、現着時間がより均等である配置を提案する傾向があることが分かった。この成果をまとめた論文を某学術雑誌に投稿したところ、条件つきで採録されることが決定し、論文の改訂作業が終わり次第再投稿する予定である。 結婚支援事業の効果検証に関しても、昨年度の成果に基づいて、個人や社会(結婚市場)に及ぼす影響を具体的に分析した。分析結果によると、事業が行われることによって各個人の戦略は(事業を利用するしないに関わらず)結婚相手として受け入れる水準を上げ、これによって、効用を上げる個人と下げる個人は混在して事業を利用する個人すらも効用水準、生涯未婚率、期待継続時間を下げる可能性がある。すべての個人が事業によって利益を得ることは不可能であり、また不利益を得る個人と利益を得る個人との間には低所得/高所得、低身長/高身長などの二元的な基準によって区別がつかないため、不利益を被る個人に対してのフォローは困難であることが考えられる。一方、社会全体でみると、結婚支援事業によって厚生が改善し、またコンピュータによるシミュレーションの結果を見る限りでは生涯未婚率および期待継続時間の全体平均も縮小する。この成果は事業延長して2022年度に論文として学術雑誌に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究や個人研究においても、効率的かつ集中的に研究を進められたことで、計画以上の進展が見られたものと考える。しかしながら、昨今の新型コロナウィルスの影響を受け、資料収集、研究の打ち合わせ、研究成果発表などの機会が制限されてしまったため、その点においては計画通りに進められていない。
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Strategy for Future Research Activity |
救急隊の最適配置の研究成果を応用して、消防隊の最適配置についても研究する準備をしている。消防サービスは救急サービスよりも事案が発生する頻度が低く、また一般的な出動戦略として1つの事案に対して2~3の拠点から隊が出動するシステムになっている点を考えると、大幅にモデルを改める必要があると考えられる。今後は、先行研究の調査を進めながら、より精緻なモデルを考案することを計画している。
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Causes of Carryover |
2021年度に学会発表や研究打ち合わせなどの出張を予定していたが、新型コロナウィルスの蔓延に伴い出張が制限されたため、未使用額が発生した。
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Research Products
(3 results)