2022 Fiscal Year Annual Research Report
History of Phrenology in Modern Japanese Education
Project/Area Number |
19K14063
|
Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
平野 亮 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (40636429)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 長岡 / 明治期の学校 / 教導説 / Robert Chambers |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,申請書の「研究の目的」に示した3つの課題のうちの,(1)「骨相学者で京都商業学校校長だった高橋邦三の言説研究を足がかりとした考察」,及び,(2)「文部省百科全書『教導説』の研究を軸とした考察」について以下の通り取り組み,成果を得た。 (1)新潟フィールドワーク 9月,明治期の骨相学者高橋邦三の出身地である新潟県長岡市を中心に,史料調査等を実施した。高橋が1877(明治10)年から数年間在籍した「長岡学校」を前身とする県立長岡高等学校では,同窓会のご協力により当時の学校日誌を閲覧し,彼の入学や出欠の状況,生徒たちの学校生活の様子に触れることができた。長岡市立図書館(中央図書館・五尊文庫)では,館員のご協力により,長岡藩史料(諸士由緒記,分限帳など)を中心に高橋のルーツ等を調査した。新潟県立図書館では,館員のご協力により,高橋が1874(明治7)年から3年間在籍した官立新潟英語学校関連の史料や,高橋による骨相学講義についてのノート(竹山文庫)を閲覧した。本調査により,前年度投稿の論考において展開した考察を補強し,さらに進める材料を得ることができた。 (2)『教導説』(1873)検討の始め 日本初の翻訳西洋教育学書とされる本書について,第一に『文部省日誌』『文部省年報』『教育雑誌』ほか各師範学校規則等を閲覧して明治初期にどの程度教科書として指定されていたかを調査した。更に,昨年末のリニューアルにより「全文検索」を始め機能・サービスを格段に向上させた国会図書館デジタルコレクションも駆使することで,師範学校のみならず「女児小学」や監獄等でも使用が想定されていたことが判明した。第二に,今後の検討の下準備もかねて,原書Chambers's Information for the People(1867)の再訳を始めた。しかし,これらの研究が緒に就いたところで期間終了となった。
|