2020 Fiscal Year Research-status Report
Kindergarten in the American Progressive Education Era; A Historical Study on Connection to Elementary School Curriculum
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19K14116
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
山本 孝司 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (00399768)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | パティ・スミス・ヒル / コンダクト・カリキュラム / フレーベル主義批判 / ホーレスマン・スクール幼稚園 / 公立学校幼稚園 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、アメリカ幼稚園運動のうち、パティ・スミス・ヒルの「コンダクト・カリキュラム」を中心に、進歩主義教育期における幼小におけるカリキュラム接続の試みに関する考察を行った。その中で、コンダクト・カリキュラム」創造過程における、ヒルによるフレーベル主義批判の論理を明らかにするとともに、「コンダクト・カリキュラム」の幼小接続カリキュラムとしての位置づけを行なった。 アメリカ幼稚園運動は、アメリカ進歩主義教育運動に先行し、運動の中に進歩主義教育以前の幼児教育の理論および実践を持つ。これら理論および実践の支柱となっていたのがフレーベル主義であったが、デューイやキルパトリックが主として初等教育においてフレーベル主義を批判的克服の対象としたように、幼稚園教育においても、それまでの幼稚園教育運動を牽引し、その理論的支柱とされたフレーベル主義への批判が起こってくる。その旗手となったのがヒルである。 アメリカにおける幼稚園と小学校の制度的接続に関しては、1870年代の公立学校幼稚園に遡るが、幼児教育と初等教育の接続をめぐる本格的な議論は、19世紀末から20世紀初頭にかけてのアメリカ進歩主義教育期における学校制度への幼稚園の位置づけに付随して展開された。理論および実践双方にまたがる幼小接続は、この進歩主義の流れを汲む幼稚園および初等学校で初めて試みられた。この点に着目し、アメリカ進歩主義教育期に、コロンビア大学ティーチャーズ・カレッジ附属幼稚園(ホーレス・マン幼稚園)において幼稚園と初等学校第1学年との連続性をもたせて考案された「コンダクト・カリキュラム」の考察を通して、今日の我が国の保幼小の円滑的接続への示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
資料収集のためアメリカへの渡航を、新型コロナウィルス感染拡大の影響で昨年度に引き続き今年度も実施することができなかったため、資料の入手に遅れが生じている。とりわけ、進歩主義教育期における幼稚園関連文献の入手が遅れており、今後の資料収集方法の再検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き関連する文献の収集と分析を中心に研究を進める。今後もこれまで同様に、19世紀末のアメリカ進歩主義教育の生起と展開における、幼稚園教育をめぐる理論、実践上の保守派と革新派の対立に焦点化し、幼小接続に関連づけて研究を進める。今後の方向性としては、国際幼稚園連盟による「幼稚園カリキュラム」作成とその発展としての「幼稚園と小学校第1学年の統一カリキュラム」作成に焦点を当て、シカゴ大学附属実験室学校におけるアリス・テンプルによるカリキュラム構想、幼稚園と小学校の教育内容、方法上の接続についてエラ・ビクトリア・ドブスらによる図画工作教育の実践等様々な断面から考察を行うことで、アメリカ進歩主義教育期の幼小接続カリキュラムの実践理論としての全体像を浮き彫りにする予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度までに予定していた資料収集のための旅費(アメリカ渡航費)が繰越金額として計上されている。今年度、新型コロナウイルス感染拡大が収束した場合に、資料収集のための旅費として使用予定である。
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Research Products
(2 results)