2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on the Articulation and Quality Assurance System of Pupil from Diverse Educational Background between High School and University
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19K14144
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Research Institution | The National Center for University Entrance Examinations |
Principal Investigator |
花井 渉 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 助教 (60783107)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高大接続 / 大学入学者選抜 / SDGs / 探究学習 / 資質・能力 / イギリス |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度(令和2年度)は、新型コロナウィルス感染症の世界的な拡大に伴い、イギリスへの現地訪問調査が実施できなかった。そこで、まず先行研究の収集・分析を行ない、そこから得られた知見に基づき、以下の論文二篇を発表した。 花井渉(2020)「先進国における持続可能な開発目標(SDGs)に基づく教育制度改革の動向」、『日本教育制度学会紀要』、第27号、pp.234-243 花井渉(2020).「「総合的な学習の時間」を活用した課題解決型学習の実践-福井県立高校における実践と大学入試への示唆-」,『大学入試センター研究開発部リサーチノート』,pp.1-12. 多様な学習背景をもつ生徒の学習の一環として、先進国における持続可能な開発目標(SDGs)に基づく教育制度改革として、特にイギリスでは、「包摂性」(inclusivity)の観点から、職業・技術教育を拡充することで、特に社会的に不利な環境にある生徒に対する手厚い支援やその地域への重点的に予算配分を行ない、集中的に到達度格差の是正に取り組んでいることが明らかになった。 また、日本における学力や知識以外の資質・能力育成の実態と課題を明らかにすることを目的として、課題解決型学習の実践について論文一篇を発表した。事例校では、地域の課題について、生徒が自ら課題を発見し、フィールドワークやインタビュー調査を実施し、成果報告会や探究論文にまとめるといった、探究学習のプロセスに沿った学習実践に取り組んでいた。しかし、このような探究学習で獲得されたコンピテンシーの大学入試における評価方法は、未だ確立されておらず、今度多面的・総合的な評価に基づく大学入学者選抜方法の開発が課題であるといえる。これは、多様な学習背景をもつ生徒の学習成果の認証評価と共通の課題であり、今後イギリスの大学入学者選抜におけるその実態と課題を明らかにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度(令和2年度)においては、当初先行研究や関連資料の整理・分析を通じて、イギリスにおけるアドミッション・オフィス設置の政策的・制度的な背景やアドミッション・オフィサーの養成・研修の現状と課題を明らかにした上で、現地訪問調査を通じて、アドミッション・オフィサーの養成・研修プログラムやテキストの具体的な内容、その職務や誰がどのように実施しているのかを明らかにすることを計画していた。 しかし、新型コロナウィルス感染症の世界的な流行に伴い、2020年3月に予定していた現地訪問調査が中止となり、その後も1年間を通じて現地訪問調査を実施することができなかったため、「アドミッション・オフィサーの養成・研修プログラムやテキストの具体的な内容、その職務や誰がどのように実施しているのか」については、明らかにすることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は継続的な文献研究を進めていくとともに、新型コロナウィルス感染症の状況を見極めながら、2022年3月の現地訪問調査を目指す。現地訪問調査では、大学・カレッジ入学サービス機構(UCAS)へ訪問し、イギリスにおける資格認証評価に係るUCAS及びその機能、組織体制や全国統一資格ポイント換算表(UCASタリフ)の現在の利用状況や課題について、インタビュー調査を通じて明らかにする。また、2020年度に明らかにすることができなかったアドミッション・オフィサーの養成・研修の具体的な内容や誰がどのように実施しているのか、アドミッション・オフィサーに求められる職能等についてもインタビュー調査で明らかにしたいと考えている。すでに2019年度に訪問する予定であったUCASのMark William氏とも連絡をとっており、訪問へ向けて、新型コロナウィルスの状況を見極めながら再調整を進めている。 また、もし状況の改善が見られず、イギリスへの渡航が困難な場合には、オンラインによるインタビュー調査を依頼し、実施することも想定している。
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Causes of Carryover |
2020年度(令和2年度)は、当初2020年3月にイギリスへの現地訪問調査を計画していたが、新型コロナウィルスの世界的な流行及び訪問先であるイギリスのロックダウンにより、訪問することができず、次年度使用額が生じてしまった。 今年度は、新型コロナウィルスの状況を見極めながら、2022年3月の訪問を目指し、研究を進める。今年度は特に外国語文献や各種報告書等の購入に予算を充てる予定である。
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