2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K14250
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Research Institution | Nagoya Women's University |
Principal Investigator |
勘米良 祐太 名古屋女子大学, 文学部, 准教授 (10761778)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 文法教育 / 国語教育 / 植民地 / 朝鮮 / 朝鮮総督府 / 朝鮮教育令 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度における本課題の成果として、大きく次の2点があげられる。 (1)史料の収集。分析、考察の前提となる歴史史料および先行研究を収集した。歴史史料のうち主要なものとしては、植民地朝鮮用『普通学校国語読本』本文および編纂趣意書、内地用読本および編纂趣意書、『芦田恵之助国語教育全集』がある。またこのほかに、朝鮮総督府が刊行した文献、植民地関係者の論考なども収集した(国立国会図書館、国立教育政策研究所教育図書館などを主に利用した)。先行研究についても同様に収集した。 (2)『普通学校国語読本』が文法事項についてとりたてて配慮しなかった理由についての考察。前年度までの調査によって、植民地朝鮮用『普通学校国語読本』が、内地用読本に比して特段の文法的配慮を行っていないことが明らかになった(お互いに巻1・2を用いた分析。一部事項が巻2に入れ替わったりはしているものの、同一学年内の移動であること、また共通の教材も複数掲載されていることから判断)。本年はこの点について、(1)にあげた文献を用いて考察した。その結果、『普通学校国語読本』を編纂した芦田恵之助や小田省吾が、それまでの朝鮮読本用読本が言語練習を重視していたために「趣味」に欠けると考えていたこと、および読んだ文章の内容について語りたいという思いを育てる「心の啓培」を重視していたことを明らかにした。これらのような理論的整備が行われたために、『普通学校国語読本』は日本語非母語話者である朝鮮の学習者に対して日本語文法を重視しないという措置をとれたのである(この点をまとめた論文は現在全国誌に投稿中である)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により当初予定していた韓国での調査は十分に行えていないが、そのぶん日本国内で入手可能な資料を収集し、論文投稿を行っている。残りの課題についてもできるかぎりの資料を収集することで、追究していきたいと考えている。なお、やはり韓国国内でしか入手できない資料もあるため、コロナ禍が沈静しだい、韓国における調査を再開したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、植民地朝鮮における文法教科書の編纂過程について考察していきたい。これまでの調査で、植民地朝鮮においてはじめて刊行された『日本口語法及文法教科書』について、いわゆる内地における文法教科書と大きな内容のちがいがないことが明らかになっている。しかし同時に、同書は参照できる教科書がまだ多くない時期に編纂されており、「あえて」同書を刊行したことが明らかである。なぜこのとき内地用の教科書を援用することなく、あえて新しい教科書を編纂したのか。この問いにについて考察するため、各種教育雑誌を参照してその理由に迫っていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、国内外の調査や学会出張が行えなかったため(そのぶん、文献費や複写費を予定より多く使用している)。
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Research Products
(1 results)