2019 Fiscal Year Research-status Report
再雇用高齢労働者の自律的就労動機づけの維持・向上要因に関する縦断的研究
Project/Area Number |
19K14355
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
堀口 康太 筑波大学, 人間系, 特任助教 (80808626)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 再雇用 / 高齢者 / 自律的動機づけ / 縦断研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は2時点の縦断調査を用いて、再雇用高齢者の自律的動機づけを促進することが可能となる職場要因について検討することを目的とした研究である。 60歳で定年退職年齢に到達した者のうち88.4%にあたる285,866人が引き続き、継続的に同一の企業で雇用されて働いている。「働けるうちは働きたい」というのは多くの高齢者の希望でもあり、それが実現できる仕組が整ってきている。しかし一方で、高齢者の就労においては、給与が低下したり、役職から解かれる等、処遇面での喪失的な変化を経験する場合が多く(伊藤, 2012)、高齢者の就労に対する動機づけを維持することが、難しいことも指摘されている(みずほ総合研究所,2006) 。 そのため、本研究は再雇用高齢者の就労動機づけの維持・向上のために有用な職場の要因を明らかにすることを目的とした。 1年目については、2019年9月から11月までの間の期間で、複数の調査会社のモニターを対象として調査を実施した。60歳以上で定年退職前と同一の企業で再雇用されて働いている高齢者(再雇用高齢者)を対象として調査を実施し、合計481名の回答を得た。 本研究において着目した職場に関連する要因は、職場における役割葛藤とあいまいさ(舟島他, 1997)、組織的公正(Shibaoka et al., 2010)、職場におけるソーシャルサポート(下光他, 2000)であった。1年目はこれらの要因と再雇用高齢者の自律的動機づけとの相関関係を確認しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1時点目の調査はすでに終了しており、分析が可能な状況である。2時点目の調査についても実施の目途が立っており、研究はおおむね計画通りに順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、2回目の調査を実施する。2回目の調査を実施した後、2時点の縦断データに基づき、職場における役割葛藤とあいまいさ、組織的公正、職場におけるソーシャルサポートといった職場に関連する要因が再雇用高齢者の自律的動機づけを予測するかについて分析を行っていく。研究成果に関しては、学会発表、学術論文としての公表を準備していく。
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Causes of Carryover |
平成31年度は、研究依頼のための旅費が想定した支出を下回ったことから次年度使用額が生じている。令和2年度については、研究成果を公表するための学会発表を複数行う予定があること、調査についても平成31年度と同等の支出が見込まれることから、次年度使用額はこれらの費用として使用する計画である。
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