2019 Fiscal Year Research-status Report
反芻思考に焦点づけた認知行動療法の自閉スペクトラム症への効果とその脳基盤の検討
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19K14447
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
竹市 峻 浜松医科大学, 医学部附属病院, 臨床心理士 (00838237)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症当事者を対象とした反芻思考に焦点づけた認知行動療法(Rumination-focused CBT:RFCBT)の実践を目的として、RFCBTの実施手順や技法の確認(反芻思考・回避行動への心理教育、機能分析、IF-THEN plan、WHY-HOW行動実験、Absorption、Compassion)を入念に行い、簡易ではあるが治療者用の実施手順を作成した。その過程で、現在わが国で初めてうつ病患者を対象としてRFCBTの臨床研究を行っている慶應義塾大学を見学させていただき、ご助言をいただいた。また、RFCBT治療内容を確認する中で、抑うつ症状のみでなく、自閉スペクトラム症に特徴的な反復的・持続的行動様式(Repetitive Restrictive Behavior:RRB)に対してもRFCBTの効果が得られる可能性を考慮に入れて、RRBを測定可能な評価尺度を加えるなど研究計画について検討を重ねてきた。 2019年度下半期には、RFCBT予備的無作為化比較試験の厳格なプロトコルを作成し、本研究についての倫理審査を浜松医科大学臨床研究倫理委員会に提出し承認を得て、リクルート開始の準備を進めた。また、自閉スペクトラム症当事者に対するRFCBT治療の質を担保するという観点から、実施内容の視覚化を目的として、RFCBTの治療マニュアルに基づき10回分の被験者用ハンドアウト資料を作成した。現在はハンドアウト資料のブラッシュアップを進めつつ、パイロット・ケースへのRFCBTを進めている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、2019年度内にリクルートを終えて、予備的無作為化比較試験を開始するとしていたが、自閉スペクトラム症当事者に対するRFCBT治療の質を担保するという観点から、2019年度をRFCBT実施手順の確認を行ったり、マニュアルの視覚化を目的としてハンドアウト資料の作成に充ててきた。このように、RFCBT予備的無作為化比較試験のプロトコル作成および実施体制の準備をより入念におこなったため、予備的無作為化比較試験のリクルートおよび開始が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床試験のプロトコルは完成しており、倫理審査でも承認を得ている。今後は、作成したハンドアウト資料のブラッシュアップを進めながら、パイロット・ケースへの治療実績を蓄積していく。2020年度内にはリクルートを開始して、RFCBT予備的無作為化比較試験を開始していく予定である。
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Causes of Carryover |
本研究のリクルートおよび予備的無作為化比較試験の開始が遅れているため、計画してあった心理検査やMRI検査が実施されず、次年度使用額が生じた。その額は次年度に追加計上し、予備的無作為化比較試験を進め、研究開始前後の心理検査並びにMRI検査を実施していく。
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