2021 Fiscal Year Annual Research Report
反芻思考に焦点づけた認知行動療法の自閉スペクトラム症への効果とその脳基盤の検討
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19K14447
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
竹市 峻 浜松医科大学, 医学部附属病院, 臨床心理士 (00838237)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 認知行動療法 / 反芻思考 / 脳画像解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、抑うつ症状を伴う成人自閉スペクトラム症当事者(Autism Spectrum Disorder:ASD)を対象に、うつ病への治療効果が示されている反芻思考に焦点づけた認知行動療法(Rumination-focused CBT:RFCBT)の予備的な無作為化比較試験を行い治療効果を検討することが第一の目的であった。また、治療効果の測定に脳画像解析(resting-state functional MRI: rsfMRI、magnetic resonance spectroscopy: MRS)を用いて、ASDの抑うつ症状発現とその回復の脳内メカニズムを検討することで、ASDに併存する抑うつ症状の効果的な治療法や効率的な改良に結びつけるような知見を得ることを目指した。 ASD当事者の認知行動療法実施の際に治療効果を高めるとされる視覚化の工夫をすること、認知行動療法施行者間での効果差を是正するために共通のプロトコルの作成を意図して、全12回分のハンドアウト資料を作成した。さらに、無作為化比較試験のプロトコル(UMIN000040092)を作成し、2020年8月1日より症例の登録を開始した。以後2022年3月末までに、合計13症例(通常診療のみ行う群(TAU群)6例、通常診療に加えてRFCBTを実施する(COMB群)6例、割り付け前に研究参加を辞退した症例が1例)の同意取得が得られ、研究が開始となり、12例は治療前後の評価含めて研究が完了している。 目標症例数の関係から、研究結果の詳細な分析は行なっていないが、COMB群では、主観的な抑うつ症状を評価するBDI-Ⅱや不安症状を評価するSTAI、自閉スペクトラム症の反復的・持続的行動様式(RRB)を評価するRBS-Rの改善傾向が見られている。
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