2021 Fiscal Year Research-status Report
Quotスキームを用いた小林-ヒッチン対応及びヒッグズ束への変分法的アプローチ
Project/Area Number |
19K14524
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
橋本 義規 東京工業大学, 理学院, 助教 (60836485)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Kaehler多様体上の標準計量 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究において見つかった,Kaehler多様体上の標準計量に関するいくつかの興味深い問題について研究を継続した.まず,Fano多様体におけるanticanonically balanced計量の存在が齋藤-高橋のF安定性から導かれることを示した.またその結果をcoupled Kaehler-Einsteinの場合に拡張する過程における副産物として,coupled K-安定の定義を強めて変分法的・解析的描像との対応が見やすくなるような定義を与えることに成功した (arXiv:2104.12346).さらに,青井顕宏氏とKai Zheng氏との共同研究において,錐的特異点を持つ定スカラーKaehler計量の存在が適切な意味でのログK-安定性を導くこと,また次数の高いジェネリックな因子に沿っては,錐的特異点を持つ定スカラーKaehler計量が必ず存在することを示した (arXiv:2110.02518).
上記の結果はKaehler多様体上の標準計量に関するもので,本プロジェクトで当初想定されたベクトル束の研究とは若干異なるが,問題はかなりの程度類似しており,証明で鍵となる変分法を用いたアイデアは共通している.
これらの結果や,前年度までに得られた結果を国内外のセミナー,研究集会,集中講義にて発表し,関係者と議論を行った.国内での研究集会にいくつか対面で参加でき議論を深めることができたこと,またオンラインでのセミナーなどで関係者と充実した議論ができたことは大きな収穫であった.さらに,前年度まで得られた結果の一部をまとめた論文2本が受理(内1本は出版)された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Kaehler多様体上の標準計量に関する幾つかの興味深い結果を得ることができたことには満足している.さらに,その過程において,coupled Kaehler-Einstein計量について有益な知見を得ることができたので,今後の研究テーマの一つとして追求したいと考えている.
一方で,Kaehler多様体上の標準計量について集中的に研究したこと,またこれまでにarXivで発表した論文の修正に時間を費やしたことが原因となり,当初計画していたHiggs束に関しては研究を進めることができなかった.Higgs束に関しては専門家と議論して有益な知見を得ることはできたが,それを新しい結果に結びつけることは現状ではできていない.
最後に,当該年度末で所属大学が変更となったことで異動に伴う作業が多く発生したこともあり,研究時間を確保することが難しかったことは大きな反省点である.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究で得られたcoupled Kaehler-Einstein計量の知見を活かして,この方向性でもう少し研究を進めていきたいと考えている.今後もしばらくはKaehler多様体上の標準計量に関する研究が中心となる予定ではあるが,ベクトル束の研究とどちらを優先するかは研究の進捗状況を見ながら判断する.
ベクトル束の研究としては,これまでの研究で得られたQuot-scheme極限の方法をHiggs束にも拡張すべく関連文献を読み進めている.いくつか有益な知見が得られたので,これまでに行った研究との対応を追求したいと考えている.
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Causes of Carryover |
国内の移動制限が徐々に緩和されつつあり,実際に国内での対面研究集会に参加することはできたものの,依然として新型コロナウイルスの影響により旅費としての支出が難しい状況であった.今後の感染状況や規制緩和の様子を見ながらではあるが,出張,研究者招聘,数学書や電子機器の購入を積極的に行って研究活動を充実させたいと考えている.
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Research Products
(8 results)