2022 Fiscal Year Research-status Report
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19K14562
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
梅田 耕平 日本大学, 理工学部, 助教 (80801042)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ラプラス超関数 / 佐藤超関数 / ラプラス変換 / 層係数コホモロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度に得た研究成果を以下に記述する。研究成果は本多尚文氏との共同研究に基づくものである。指数型のC∞級微分形式により代表されるチェックドルボーコホモロジー表示のラプラス超関数に対するラプラス変換とその逆変換を構成した。ラプラス逆変換は定数関数1のラプラス超関数への像を用いて構成されている。そのおかげで、通常は積分計算によって行われる様な逆変換像の台の評価を“1を微分すると0になる”という基本的な結果を用いて行うことが出来た。この手法はこれまでの代数解析における同様の分野には無かった新たな手法を与えるものである。定数関数1の像は理論的な存在を示すだけではなく、具体的な構成を得ることに成功した。また、計算に有効となる様々な良いチェックコホモロジー表示のラプラス超関数に対する同等なラプラス変換を与えることにも成功した。ラプラス超関数のラプラス変換像は無限遠方で劣指数型の増大度を持つ正則関数となる。劣指数型正則関数を係数に持つKoszul複体の0次と1次における完全性を示すことにより, 定数係数偏微分方程式のラプラス超関数解の可解性を示すことに成功した。これらの結果は2022年10月に京都数理解析研究所で開催されたシンポジウム「Prospects in microlocal analysis and asymptotic analysis」で講演発表を行った。現在、研究成果を投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で述べたとおり、今年度はチェックドルボー表示のラプラス超関数に対するラプラス変換とその逆変換の構成に成功し、定数係数偏微分方程式のラプラス超関数解の可解性を示すなどの重要な成果を得ている。しかし、予定していた直積型指数型正則関数層に対する擬凸領域上の大域的相対コホモロジー群の消滅定理と直積型指数型正則関数に対する楔の刃型定理の確立を示すまでには至らなかった。以上の理由により、研究はやや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定のとおり、直積型指数型正則関数層に対する擬凸領域上の大域的相対コホモロジー群の消滅定理と直積型指数型正則関数に対する楔の刃型定理の確立に取り組む。また、劣指数型正則関数を係数に持つKoszul複体の0次と1次に関する完全性を示すことが出来たが、その他の次数に関する完全性は示されていないため、完全性の確立を目標に劣指数型正則関数層に対する各種のコホモロジー群の消滅の証明についても取り組む。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウィルスの影響により、2020年,2021年に予定していた研究集会及び研究打ち合わせが全て行えない状況であったためである。次年度に研究集会、研究打ち合わせの旅費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)